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渋谷の予約困難店『Niru』。駅徒歩15分でも客が絶えない「仕込み」の流儀

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ある日のメニュー。差別化の観点からも生魚を避けるほか、素材に産地やブランドを謳わないことでロスや原価率はかなり低くおさえられているという

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分けてサーブすることでお客の箸が進み、追加オーダーにつながりやすい

事前にしっかりと仕込みを終え、営業中は接客やサービス面に集中することにも、佐保氏のメリハリ重視の姿勢が表れている点だ。

「ササミとツナの揚げ春巻き シナモン風味」(990円)はモロッコ料理のブリワットから着想

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たとえば、煮込み以外の料理は原則、事前に人数分に分けてサーブする。大皿提供の場合、客同士で遠慮し合ったり互いのペースに合わせたりするのが常だが、事前に分けることで一人ひとりが自分のペースで食事ができるからだ。さらに、結果的に食が進むため追加オーダーにつながりやすいという。小さな手間でお客の満足度を大きく上げられるのであれば「拒否する理由はない」と佐保氏はいい切った。

小分け提供は、コレクションしている皿を使いたいという意図も

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「ただ、声がけやコミュニケーションは本当に必要最低限です。店側は親切のつもりの何気ないひとことでも、お客さまの会話を途切れさせたり返事を強要させたりしてしまう。ちゃんと、目さえ配れていればいいかなって」

椎茸とフライドオニオンで味に深みを出した『魯肉飯』(1,390円)。薄切り肉を使うことでブロック肉を角切りする手間をなくし、〆にもサラッと食べられる仕立てに

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お客の満足度を上げるためにも、週休3日で英気を養いたい

最後に今後の目標を聞くと、「週休3日にしたいですね(笑)」と、予想外の答えで笑わせてくれた佐保氏。しかしそれは後ろ向きな発言ではなく、よりよいものを提供し、お客の満足度を上げるためにもオン・オフのバランスを整えたいという意図だ。

「週休2日のいまも、全力で遊びに費やしてしまうので(笑)、何もしない日を1日つくってもう少し英気を養えるといいですね。いい刺激といい休養があってこそ、またいいものがつくれる。プラスのサイクルをうまく回せるようにしたい」

週3、4軒は他店へ足を運び、学びやヒントを得ているという佐保氏。その店づくりは、さらに煮詰められていきそうだ。

BGMには常に高橋幸宏氏の曲が流れる

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『Niru』
住所/東京都渋谷区東1-25-5
電話番号/03-6450-6014
営業時間/17:00〜22:30
定休日/水曜・日曜+不定休
席数/15
坪数/約10坪
公式Instagram

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山本愛理

ライター: 山本愛理

フリーライター・エディター。WEBを中心に食にまつわる記事を執筆。 昔ながらの喫茶店から星付きレストランまで、美味しいものを通して幸せな時間を提供してくれる人の声と熱を届けるのが好き。空いた時間はもっぱらカフェ巡り。