坪月商60万円超え連発の『はんさむ』。蕎麦居酒屋なら「必ず勝てる」の根拠
坪月商60万円を超える繁盛店を続々と生み出している、注目の蕎麦居酒屋ブランド『はんさむ』。2023年10月には、東京・下北沢に最新店の『蕎麦前酒場 南口のはんさむ(以下、南口のはんさむ)』をオープンした。現在までに4店舗を出店しており、いずれも月商650万円以上を弾き出している。
『はんさむ』を運営する株式会社Scrach Kongの岡崎龍太氏は「蕎麦居酒屋なら必ず勝てる」と創業時から確信を持っていたというが、なにがその根拠になっていたのか。進化し続ける『はんさむ』の強さについて解説していただいた。
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『権八』はなぜ強いのか。その分析から『はんさむ』を開発
元々、株式会社グローバルダイニングに12年間勤務していたという岡崎氏。同社の和食レストラン『権八』4店の統括料理長を務めた後に独立し、2016年7月に『はんさむ』1号店として『蕎麦と鶏 はんさむ 下北沢(以下、はんさむ 下北沢)』をオープンした。
「前職では『権八』の強さの理由についてずっと分析していました。『権八』は、手打ち蕎麦と炭火焼きの串焼きをフードの2本柱にした大繁盛店です。昔ながらの蕎麦店は敷居が高い店が多いですが、『権八』は手打ち蕎麦を売りにしながら、スタイリッシュかつダイナミックな店舗デザインによって業態の間口を広げています。そこに炭火焼きという本格派の串焼きをドッキングし、蕎麦居酒屋の新しい外食シーンを創り出したことが強力な集客の武器になっている。これが僕の出した結論でした」
岡崎氏は『権八』の強みをそう分析する一方、「蕎麦、串焼きは調理後の経時劣化が比較的早い料理。『権八』は主に中型、大型店を展開しているため、商品提供にある程度時間がかかってしまうところがクオリティコントロールの課題点でした」とも指摘する。
逆に言えば、その問題をクリアできれば繁盛しないわけがない。その考えから10坪23席の独立店『はんさむ 下北沢』を開発したのである。
出店を重ねながら「蕎麦前酒場」として業態を進化
岡崎氏の狙い通り、『はんさむ 下北沢』はこの規模で月商650万円を叩き出す大繁盛店になる。2号店の『蕎麦と鶏 はんさむ 用賀』は20坪40席の規模で月商700万円、3号店の『蕎麦前酒場 はんさむ 裏渋谷店(以下、裏渋谷店)』は12坪23席の規模で月商720万円と立て続けに大ヒットを飛ばし、岡崎氏の持論を実証した。さらに特筆されるのが、業態が出店を重ねるごとに進化していることだ。

既存3店が10~20坪23~40席の規模なのに対し、『南口のはんさむ』は25坪35席とグループ最大の規模。客席はカウンター席、テーブル席、ボックス席の他、半個室のテーブル席で構成される(画像提供:Scrach Kong)
最新店の『南口のはんさむ』は、創業の地である下北沢エリアの2店目として2023年10月にオープン。25坪35席という店舗規模はグループ最大規模で、しかも初挑戦の空中階である。「創業時にこの条件で出店するのは難しかったかもしれませんが、これまでに積み重ねてきた実績とノウハウがあるからこそ、自信を持ってチャレンジできました」と岡崎氏は話す。
業態の進化は、屋号からも読みとれる。1、2号店は『蕎麦と鶏 はんさむ』とフードの主軸を店名に冠しているのに対し、3、4号店は『蕎麦前酒場 はんさむ』にチェンジ。「裏渋谷店が炭火を使用できない物件だったことから、串焼きに頼らないフードメニューを組み替えましたが、この試みが吉と出ました」と岡崎氏は振り返る。
得意とする串焼きが封じられながらも、既存店より高い売上を叩き出すことになった『裏渋谷店』。そこで培った新メニューを活かしつつ、新店舗の『南口のはんさむ』では「さらに、串焼きをプラスした蕎麦前酒場のアップグレードメニューで勝負しました」と説明する。
