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坪月商60万円超え連発の『はんさむ』。蕎麦居酒屋なら「必ず勝てる」の根拠

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『南口のはんさむ』のドリンクメニュー表

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試しにスタートしたランチ営業で売上構成比率25%を確保

ドリンクメニューはビール、ハイボール、レモンサワーなど約50種をラインアップし、中心価格帯は480~580円。17種を常備する日本酒がメインで、半合500円、一合950円、飲み比べ三種1,000円の一律価格とし、注文しやすくしている。この点は『はんさむ』4店共通の提供スタイルだ。

『南口のはんさむ』のディナー客単価は5,000円、アルコール売上比率は25%だが、この数値は既存3店もほぼ変わらない。

また、ランチタイムには天ぷらせいろ蕎麦5品、天丼とお蕎麦セット5品、鶏・玉子とお蕎麦4品を980~1,380円の価格帯で提供しており、ランチ客単価は1,300円。いずれの店もランチの売上構成比率は25%を確保している。

「創業時には夜鳴き蕎麦を業態イメージとしていたため、ランチ営業をしていませんでした。ただ、深夜営業は売上こそ好調でしたが、終電の問題などによってスタッフワークが追い付かず、諦めざるを得なかった。そこで、試しにスタートしたランチ営業が想定以上にうまくいき、売上の安定確保につながりました。この点も蕎麦居酒屋の強みといえますね」

「徳次郎 夏純米」、「鼎 夏生・おりがらみ」、「黒龍 純吟」など日本酒は17銘柄を常備。蕎麦茶をヤカンに入れた「ヤカンでそば茶割り」(550円)、ハイボールを一升瓶で提供する「一升瓶ハイボール」(1,980円)など提供方法にひと工夫したドリンクも用意している

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業態として競合が生まれにくい理由

『南口のはんさむ』の売上目標は月商1,000万円。「『はんさむ』はどの店もスロースタートなのですが、店の認知度が高まり、リピート客が増えるにしたがって売上がじわじわと伸びていきます。目下のところ、『南口のはんさむ』の月商は700万円。2024年中には目標を達成できるだろうと踏んでいます」と岡崎氏は力強く語る。

ランチ営業前、ディナー営業前の1日2回、店内で蕎麦を打つ。写真は入社3か月のスタッフである川村拓也氏。そば打ちの猛特訓中だ。

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この自信の根拠として、競合店が生まれにくい『はんさむ』の業態特性を岡崎氏は挙げる。

すべての店で蕎麦を手打ちしているだけでなく、フードのもうひとつの柱である串焼きも店内で鶏肉を捌き、串打ちし、それを炭火焼きする。厨房スタッフは蕎麦打ちと串焼き両方のスキルを身に付ける必要があり、人材育成に時間がかかるが、それが参入障壁になるため、店をじっくりと育てていくことができるわけだ。

「もちろん、この点は出店における課題にもなります。スタッフありきで出店しなければならないため、『はんさむ』はもう1店、つまり5店くらいが展開の上限になるだろう」と岡崎氏。一方で、「事業目標としているのが、スタッフが『はんさむ』で蕎麦打ちと炭焼きの調理スキルを習得し、できるだけ多くの独立者を生み出すこと。実際にスキルアップに前向きなスタッフが多く、人手不足といわれる中でも人材確保で苦労したことはありません」と今後の展望について語った。

下北沢エリアの2店目となる『南口のはんさむ』は下北沢南口商店街の雑居ビル2階に入居。空中階は初チャレンジとなる

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『蕎麦前酒場 南口のはんさむ』
住所/東京都世田谷区北沢2-15-15 末広ビ2F
電話番号/03-6450-7221
営業時間/月~金11:30~15:00、17:00〜23:00(L.0.22:30)、土日祝11:30~23:00
定休日/なし
席数/35
公式インスタグラム

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栗田利之

ライター: 栗田利之

フリーランスの記者として、15年以上にわたって外食経営誌の記事を執筆。大手、中堅の外食企業や話題の繁盛店などを取材してきた。埼玉県下を中心に店舗網を拡げている「ぎょうざの満洲」が贔屓の外食チェーン。