月商800万円を売る田町『魚義』。“繁盛法則”を仕組み化し、姉妹店も大ヒット【連載:居酒屋の輪】
おいしいお米が客を呼ぶ法則
アルコールメニューに制限があったコロナ禍。ご飯ものの需要が高まると予測し、遠藤さんが看板メニューに掲げたのが釜飯だ。狙い通り周辺の会社員やファミリー層を惹きつけ、開業から現在まで不動の人気No1。おいしさの決め手となっているのが、遠藤さんの実家で育てられたお米である。
「東京の場合、特に居酒屋ではお米の味が今ひとつだと感じることが多くて。コロナ禍で新しい業態をはじめる時に、実家のお米を看板メニューに繋げられないかと考えました」
日本穀物検定協会が認定する食味ランキングにおいて、最高位の特Aを20年以上も連続で獲得したのは、新潟魚沼産「コシヒカリ」と山形県産「はえぬき」だけ。県内でのシェアは約60%と、名実ともに山形を代表するブランド米なのだが、県外での認知度は今ひとつ。港区有数のビジネス街で浸透させることで「地元への恩返しになっていたら嬉しい」と遠藤さんは控えめに微笑む。
FL比率を固定して付加価値で補う法則
釜飯と並び立つ名物は豊洲市場直送の新鮮魚介。「生本鮪食べ比べ二種」(1,890円)を筆頭に、その日ごとの仕入れ次第で新鮮な刺身を揃えるほか、「ホタルイカの沖漬け」(539円)、「マグロ酒盗のクリームチーズ」(649円)、「ほぐし身の蟹味噌和え」(913円)など、前菜メニューも値頃感のある魚介系の逸品が並ぶ。
揚げもの、煮付け、焼きものといった定番に加え「海鮮といくらのサラダ 〜玉葱ドレッシング〜」(869円)や「サーモンといくらのポテトサラダ」(1,089円)など、サラダメニューにも魚介を多用。〆には釜飯だけでなく「海鮮こぼれ寿司」(小1〜2人前1,639円/大3,069円)も用意する。
原材料が高騰するなか、オープンから現在までFL比率は目標値を45%で固定。人手不足を解消するために人件費の割合を上げながら、メニューの見直しなどを行うことで価格転嫁は「客単価5,000円弱から5,500円にアップさせました」と客単価あたり500円ほどに抑え込む。現在は21〜22%が人件費、15〜16%がフード、8〜9%がドリンクという内訳だ。
「元々、僕は料理人としてサブ(調理補助)ぐらいの能力しかありませんでしたが、原価高騰を乗り切るために一から勉強をし直したんです。厨房で料理人とコミュニケーションを取りながら素材やオペレーションを見直し、ホールに出てお客様の反応を確認し、少しずつメニュー内容を整えました。正解は無数にありますから、バランスを取りながら柔軟に対応していった結果、今ちょうど落ち着いてきた感じです」
