川崎で坪月商60万円越えの『魚炉魚炉』。チェーン優勢の街で成功できたワケ
料理は奇抜すぎず、親しみやすい料理に少しアレンジを加える程度に
また炉端焼きについては、居酒屋甲子園で出会った株式会社國屋の國利翔氏にお世話になり、「魚炉魚炉」ブランドの料理長が新宿の『ろばた翔』で研修を受け、スキルを身に着けたほか、和食や割烹出身の料理人も採用。料理も「東京で流行っている要素を入れると、喜ばれるんですよね。けれど『フルーツの白和え』などオシャレすぎたり、奇抜すぎたりするとあまりオーダーが入らない。親しみやすいメニューに、少しアレンジを加える程度にしています」と川崎ならではの客層も考慮している様子だ。
メニュー開発の試行錯誤が功を奏し、フードの注文率は65%と高め。魚介類は魚屋から「もったいない魚」と呼ばれる手に入りやすい価格の魚を日替わりで仕入れることで、原価率を下げる工夫もこらし平均32%ほどだ。
一方で、総本店では「牡蠣アワー」と題して牡蠣を1つ99円で売り出すことで集客を図るなど、コストをかけるべきところ、抑えるべきところのバランスを取っている。物価の変動なども鑑み、適宜価格改定も行う。
「原始焼き」×「寿司酒場」でミドルアッパー層を狙った『川崎魚炉魚炉寿し』も連日満席
2024年5月25日には、川崎に本格寿司と鮮魚の原始焼きをメインに、お酒を気軽に楽しめる寿司酒場『川崎魚炉魚炉寿し』をオープン。川崎の目抜き通りのひとつである仲見世通りの地下一階の19坪の物件で、家賃は60万円ほどだという。
「『鮮魚と炉端焼き魚炉魚炉』が2店舗とも満席で、お客さまをお断りしてしまうことが続いたので、もう1店舗作りたいと考えていました。元々海外展開も考えていたこと、寿司を握れる職人もいたこともあり、海鮮居酒屋の延長で寿司を名物にしようと思いました。そして、既存店の人気メニューである鮮魚一本焼きや焼き野菜などは踏襲することにしました」と菊池氏はその経緯を明かす。
客単価は家賃も鑑み、既存店よりも少し高い6,000円程度を想定。ゆっくり落ち着いて食事やお酒を楽しみたい人や、歓楽街であることを見込み同伴需要を取り込む。
名物は江戸前の伝統的な赤酢のシャリを使った「鮨盛り合わせ」(1,680円)と、カウンター内に設けた囲炉裏で焼きあげる「鮮魚一本焼き」(時価)だ。他にも産地直送の新鮮な牡蠣や刺身、天ぷらなど、お酒によく合う逸品をラインアップ。姉妹店『魚炉魚炉』でも人気のメニューである「数の子とクリームチーズのポテサラ」(780円)や刻んだ青唐辛子とあえた「青唐辛子のなめろう」(980円)などの一品料理も取り揃える。
お酒は全国各地から厳選した日本酒を常時20種類ほど用意。他にも生スダチ酎や国産ジンなど各種揃える。さらに今回は「新政」など一合2,000円オーバーのプレミアム日本酒もラインアップしたというが、想定通りオーダーが入っているという。現在、連日1回転は満席になるという好調な走りだしだ。
