「マンダリン オリエンタル 東京」ダニエレ・カーソンさんの“人との繋がり”から生まれる創造力
ここ数年、ガストロノミーを目的に日本を旅するフーディーズの食リストに、寿司や天ぷらといった王道アイテムと並んでピッツァが加わったことをご存じだろうか。カジュアルなイメージだったピッツァを“それを食べるために飛行機に乗る”価値のあるハイエンドな存在へと変えたのが「ピッツァ オマカセ」を創造した「マンダリン オリエンタル 東京」総料理長ダニエレ・カーソンさんだ。世界をあっと言わせたそのクリエイティビティはどこから生まれたのだろうか。
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唯一無二の“ガストロノミーなピッツァ”
のっけから申し訳ないが、筆者はこれまであまりピッツァという存在を重視していなかった。パスタとピッツァの選択肢があれば、迷うことなくパスタを選ぶ。形状もテクスチャもさまざま、冷製から熱々まで温度の変化も楽しめるバリエーション豊富なパスタと比較して、ピッツァはいつでも焼き立て一本勝負。円形のビジュアルもシンプル極まりない。仲間とわいわい楽しむコンフォートフードとしては最強だが、料理とじっくり向き合いたいガストロノミーには役不足。そう思い込んでいた。
そんな自分の無知に気づかせてくれたのが「マンダリン オリエンタル 東京」に登場したカウンター8席だけの『ピッツァバー on 38th』。総料理長ダニエレ・カーソンさんが手がける、これまで世界に存在しなかった唯一無二の“ガストロノミーなピッツァ”の勢いはとどまるところを知らず、『ピッツァバー on 38th』はイタリア発のピッツェリア専門ガイド『50 Top Pizza』のアジア・太平洋部門『50 Top Pizza Asia - Pacific 2024』で2年連続で首位を獲得。その世界版『50 Top Pizza World 2024』でも3位にランクイン。ダニエレさん個人としても「Pizza Maker of the Year 2022 - Peroni Award」を受賞している。
そもそも世界に名だたる5つ星ホテルが、オールデイダイニングのメニューの一品としてピッツァを採用するのではなく、ピッツァを主役に据え、専属のピッツァイオーロが腕を振るう、焼き窯まで備えたピッツァ専門店をつくったこと自体がすごい。
「私はローマっ子ですから、生地が薄くて軽やかなローマ風ピッツァはソウルフードのひとつです。ティーンエイジャーの頃は『ピッツァ アラ パーラ』というカジュアルなストリートフードを片手に街を歩いていました。『マンダリン オリエンタル 東京』に着任して、“ピッツァを5つ星ホテルにふさわしい料理としてお客様にお届けする”という課題をいただいたことで、子どもの頃から慣れ親しんだピッツァに改めて向き合うことになりました」
