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坪月商75万円超え! 赤坂『大衆サカバ 牡蠣る。』が「食べ飲み放題」に注力する意外な理由とは?

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「カキル」のネオンサインが目を引く店内。写真左手には“割もの”専用の冷蔵庫が設置されている(写真提供:株式会社asoviva)

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戦略的なSNS運用が繁盛店づくりのカギに

同社の強みのひとつが、SNSを活用した集客力。レトロさとモダンさが混在する“ネオ大衆酒場”スタイルの内装、そして食べ放題&飲み放題に力を入れているのも、SNS映えを意識したものだ。

「分析した結果、飲食店に関する動画で最も再生回数が多かったのが、食べ放題と飲み放題でした。実際、ほとんどの動画の再生回数は平均して数万~10万回以上、100万回を超えた月と翌月の月商は必ず1,000万円を超えます。動画がバズると、今度は影響力のあるインフルエンサーの方が自分から来て広めてくれます」

一般的に「赤坂で食べ飲み放題」と聞けば、会社員向けの宴会需要をイメージするが、実際には若者ターゲットのSNSマーケティングというのが興味深い。

味はもちろんのこと、提供しやすさ、写真映えなども考慮しながらメニューを構成(写真提供:株式会社asoviva)

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また、同社では店舗ごとにInstagramのアカウントを作成しており、各店のスタッフがこまめに動画を更新している。単にルーティーンとして投稿しているわけではなく、TikTokやInstagramで再生回数が多い動画を分析し、台本を作成した上で撮影。さらにセミプロによるナレーションを入れることで完成度を高めている。

自身のビジネステクニックを、俗にいう「TTP(徹底的にパクる)+K(超える)」だと言う藤田氏。他店でウケているものは柔軟に取り入れると同時に、さらに進化させることを目指しており、現在も流行の店に足を運び、リサーチを重ねている。

ネットマーケティングをゼロから学ぶために、「ぐるなび」の営業マンに

そんな藤田氏が飲食業界を志したきっかけは、大学生時代のアルバイト。新卒でベンチャー企業に就職してからは社内起業制度を活用し、23歳で居酒屋を2店舗開業するも、わずか1年で閉店に追い込まれてしまう。2000年代中頃、当時はグルメサイトが続々と登場し、外食業界は勢いを増していたが、「得体がしれないグルメサイトに広告費をかけるなんて」と拒み続けた結果、思うように集客できなかったことが敗因だと藤田氏は振り返る。

「もう一度飲食店やるためは、インターネットマーケティングを徹底的に学ばなければ二の舞になる。それならば、と『ぐるなび』に転職しました」

ぐるなび時代は営業職として約150店舗を担当。それぞれの業態や立地、客層に合わせたメニュー提案などのコンサルティングも行い、常に時代やニーズに沿った店、メニューをリサーチしていたという。その後、飲食店を展開する企業へ転職し、2014年に開業した『赤坂元気(仮)』を事業譲渡の形で独立を果たした。

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河西みのり

ライター: 河西みのり

フリーランスで活動するライター&インタビュアー。現在はソーシャルメディアや業界紙など多岐に渡り執筆。飲食店取材からレシピ本の編集、お取り寄せカタログのコピーまで“食”にまつわる分野を得意とする。