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客単価8,500円でリピート率8割! 『都立大学 ぶらんこ』に学ぶ、地元から愛されるコミュ術

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直列に並ぶテーブル卓の配置でレイアウトを変更。2~10名の宴会が可能だ(写真提供:都立大学 ぶらんこ)

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シームレスな接客を生む「心のメーター」と「アイコンタクト」

ただし、ホールスタッフなしのオープンキッチン営業は一筋縄ではいかない。当然、料理人が調理と接客の両輪を回す。しかも、一人客などの「店員とカウンター越しに会話をしたい」というニーズもある。だから頭を使い話しながら、手を止めずに調理を同時進行。ましてリピート率8割なので、顔なじみの常連のトークにつかまってしまうことも……。こうなると、新規の客が入りづらい空気ができあがってしまう懸念がある。

この対処法について、植竹氏は以下のように説明する。

「ベタつかず、離れすぎずという距離感はすごく意識してますね。スタッフにも共有してますが、お客さん全員の『心のメーター』を気にしなさいと言っています。例えば、カウンターで常連さんと話が盛り上がったとしても、そのせいで料理を待たされているお客さんがいたとしたら、『何おしゃべりしているんだ』と思われる。お客さんの心のメーターの数値に偏りが出ないよう、そこはマニュアルを決めず、スタッフ各々が想像力を働かせて対応しています」

もう一つ、カウンターで気にしているのが「お客さんの目線」だ。

「カップルで来店されたとしたら、女性がトイレに行っている間に男性は会計を済ませたいと思いますよね。それって目線で分かるじゃないですか。その目線に気づいて声を掛けられる前に動くとか……。ドリンクやフードの追加オーダーの際もそう。目線を察し、お客さんから『すみません』と呼ばれる前に注文を取りたいんですよね。ですから、飲み終わって氷が残ったグラスのカラカラ~という音が耳に入ると、『次のドリンクどうですか?』と声を掛けます。もしくは目線を合わせてあげるだけでも、お客さんは注文しやすいはず。お客さんが何かを求めるタイミングを察知するための、アンテナを立てるように心掛けています」

目線や音を感じ取り、ときには作業しながらノールックで察するのだからすごい。「流れるような接客で、お客さんが入店してから帰るまでノンストレスで過ごす。で、気づいたら『こんな時間になっちゃった』と思うのが、一番居心地が良い店なのかな」と植竹氏は理想を語る。

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小林智明

ライター: 小林智明

埼玉県出身。情報誌の編集プロダクションを経て、2006年にライターとして独立。食、旅、スポーツ、エンタメなど多岐にわたり取材・執筆活動を展開中。グルメ取材はラーメン店を中心に計500軒を突破。好きなお酒は辛口純米酒。