2024年の飲食店倒産件数は過去最多。業態別では「酒場、ビヤホール」がトップに
帝国データバンクは、「飲食店」の倒産動向調査(2024年)の結果を発表した。2024年の飲食店倒産件数は894件で、2020年の780件を上回り、過去最多となった。今回は、調査結果をもとに、業態別の倒産件数などを紹介する。
集計期間:2024年1月1日〜12月31日
集計対象:負債1,000万円以上、法的整理
調査機関:株式会社帝国データバンク
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1億円未満の小規模倒産が784件と全体の約9割を占める
帝国データバンクの調査によると、2024年の飲食店倒産件数は894件で過去最多。新型コロナウイルス感染症の拡大による緊急事態宣言下だった2020年の780件を上回った。
負債規模別で最も多かったのは、「1000万~5000万円未満」の692件(77.4%)。続いて、「1億~5億円未満」の93件(10.4%)、「5000万~1億円未満」の92件(10.3%)となった。一方、10億円以上の倒産は6件(0.7%)で、1億円未満の小規模倒産が784件(87.7%)と大部分を占めていることがわかる。最大の負債額は、アサヒビール園などを運営していたアサヒフードクリエイトの約89億9,726万円だった。
2020年は倒産件数が増えたものの、国や自治体などの支援策によって2021年、2022年は倒産件数が抑えられていた。しかし、2023年になってゼロゼロ融資などの支援策が終了したことに加え、円安による物価高や人手不足の影響で、倒産件数は大幅に増加。2024年もその傾向は変わらず、人手不足からの人件費増加などもあり、厳しい資金繰りが続いたと見られる。
業態別倒産件数では「酒場、ビヤホール」が最多
業態別の倒産件数を見てみると、11業態のうち最も倒産件数が多かったのは「酒場、ビヤホール」の212件。続いて、「中華料理店、その他の東洋料理店」は2023年の109件を大幅に上回る158件となった。「西洋料理店」も2023年の81件から123件に大幅増加。倒産件数100件を超えたのはこの3業態となったが、「そば・うどん店」の27件、お好み焼き屋やハンバーガー店が含まれる「その他の一般飲食店」の65件など、5業態で過去最多の倒産件数となった。また、「バー、キャバレー、ナイトクラブ」の93件、「日本料理店」の77件など7業態で前年を上回っている。
インバウンド需要の増加など、飲食店にいい影響をもたらす流れもあるものの、原価や人件費の高騰はまだ続くと考えられる。1億円未満の小規模倒産が大部分を占めている状況からも、コスト削減などで改善しやすい大手企業よりも、小規模飲食店のほうが厳しい状況だといえるだろう。コスト管理の徹底はもちろん、価格改定や独自メニューの開発、インバウンド対応、デジタルを活用した集客など、できる限りの対策を行っていくことが求められる。
