オープン4か月で連日満席の幡ヶ谷『yum』。常連客を次々と生む“点心×ナチュラルワイン”の魅力
点心との相性を考え、白を主軸にナチュラルワインをラインアップ
点心を中心とした料理に合わせるアルコールとして同店で打ち出しているのが、自然派を中心とするワインだ。グラスは1,000〜1,500円で常時6〜7種類あり、ボトルは8,000円台を中心に100種類はそろっている。
「点心は懐が深いのでどんなアルコールにも合わせやすいですが、旬の食材を生かし、しっかりした味わいに仕上がっている点心にはナチュラルワインがぴったり。特に旨味や酸があるタイプだと点心がよく進むので、ラインアップの中心は白ワイン。赤でもタンニンが少なくてすっきりしたタイプをそろえています。構成としては白ワインが4割、ロゼとオレンジワイン、赤ワインをそれぞれ2割程度ですね」(渡邉さん)
とはいえ、ワイン以外を飲みたい人も多いので、ビールやサワー、紹興酒なども一通り用意。「yumサワー」(800円)は東南アジアの料理でよく使われるバイマックル(こぶみかんの葉)入りのレモンシロップをベースにしたもので、点心をはじめとする中華料理にマッチする。
感度の高い人が集まる幡ヶ谷で、女性1人でも入りやすい店に
西原さんは『グランド ハイアット 東京』の『チャイナルーム』を経て、麻布台にあるミシュラン一つ星の『Series(シリーズ)』に勤務。そこで共に働いた渡邉さんと、NA Group株式会社が運営する西麻布『蓮』に立ち上げから携わった。『yum』も同社の経営で、経験豊富な西原さんならではの点心を主役に据えたいと、出店が決まったという。
「『Series』や『蓮』ではワインとのペアリングに力を入れていたので、当店でもワインをアルコールの主軸にするのは自然な流れでした。中華でも点心に特化した店はまだ少ないためなるべく早く出店したかったのですが、良い物件に出会うまで1年ほどかかってしまいましたね(笑)」(渡邉さん)
出店を幡ヶ谷に絞ったのは、近年さまざまなジャンルの新店が登場し、たくさん食べて飲む人や感度が高い人が集まるエリアだったから。2人で切り盛りできる規模としてカウンター席のある10坪程度の物件を探した。また、コロナ禍以降の物価高でスケルトンから店を立ち上げるにはコストがかかるため、居抜きであることも条件だったという。見つけたのは、ハンバーガー店の居抜き。一見するとカフェのような空間で、女性1人でも入りやすい雰囲気だ。




