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アイスクリーム×ワインで大行列。幡ヶ谷『kasiki』が唯一の存在になるまで

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メニュー例。アイスクリームは常時8種類ほどあり、一律「シングル」(550円)、「ダブル」(850円)、「トリプル」(1,000円)

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アイス作りは料理の延長線。ユニークなフレーバーも「ごく自然な発想」

ところで、アイスクリームと聞くと、ワンハンドで食べるスナック感覚のスイーツというイメージが一般的ではないだろうか。観光地グルメや食べ歩きの定番という一面も持ち、アイスクリームそのものが“目的”というよりも、何かの“プラス要素”として楽しむ機会が多いはずだ。しかし、『kasiki』に来るお客はその真逆。わざわざここを目指して訪れる人がほとんどだといい、近隣、沿線の住民はもちろんのこと、海外を含め遠方からのお客も少なくない。

腰掛けると外の風景が見える窓のデザインが印象的

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彼らを虜にする理由はまず何より、その究極的にシンプルでありながらオリジナリティが光るアイスクリームのおいしさにある。ベースは新鮮なミルクと素焚糖(すだきとう)のみ。そこに季節の果物を惜しみなく加えた『kasiki』のアイスクリームは、主役の果物が驚くほどふくよかに香り、口のなかでとろけていく間にさらに増していく。そしてそれを後押しするのが、藤田さんが「自由」だと語る組み合わせの妙だ。

「『どうすれば主役の果物がもっとおいしく楽しめるか』という視点で合わせる素材を決め、味を組み立てています。西洋ハーブを使うこともあれば、八角やカルダモンなど刺激的なスパイスを合わせることも。よく珍しいといわれますが、私にとってはごく自然な発想。スイーツ作りをしているという意識はあまりなくて、料理の延長線のような感覚です」

嬬恋村産いちごの「苺ローズマリー」と瀬戸田産レモンの「レモンダージリン」。卵を使わないため素材の風味を損わず、軽やかに仕上がる

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例えば、「苺ローズマリー」は、群馬県嬬恋村産の夏いちごに、爽やかな青みを持つローズマリーを合わせたフレーバー。いちごの力強い甘酸っぱさの間から時折、そよ風のように針葉樹の涼やかな香りが吹き込み、いちごの余韻が長く優しく続くのが印象的だ。

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RIN

ライター: RIN

カフェライター・エディター。街の小さな一軒からトレンドカフェ、昔ながらの喫茶店まで、カフェという場を通じて幸せを提供してくれる人の声と熱を届けるのが好き。ライフワークは"スコーンの人"(IG:@rin_125)。