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音楽も食も、超一流を目指す。恵比寿『ブルーノート・プレイス』に聞く「感動体験」の作り方

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株式会社ブルーノート・ジャパン取締役の山本貴之氏。『ブルーノート・プレイス』のマネージャーも兼任する

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飲食店に“体験価値”を求められるようになっている昨今。ファンづくり、リピーター獲得のためには料理がおいしいのは大前提として、空間や音楽、サービスといった“プラスα”の魅力がますます重視されるようになっている。

本稿では、音楽と食を融合させた店づくりで圧倒的な体験価値を提供している『ブルーノート・プレイス』を取材。同店のマネージャーを務める山本貴之氏に、“感動体験”の作り方を聞いた。

今、飲食店に求められる「体験価値」とは

SNSが台頭し、飲食店選びの基準が多様化する現代で注目されているのが“体験価値”。思わず写真を撮りたくなるような料理、プレゼンテーションがすごい店、遊び心のあるサービスなど、その場に行かないと味わえない体験が、来店動機と強く結びついている。近年は、飲食と音楽、さらにファッションなどジャンルミックスで価値を高める店も注目されている。

1階はステージとダイニングが中心、2階はソファーシートが多くゆったりくつろげる配置

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「一流の音楽と食の提供」を、総勢30人のスタッフが支える

『ブルーノート・プレイス』は、1988年に開業した南青山のジャズクラブ&ライブレストラン『ブルーノート東京』の姉妹店として、2022年12月、恵比寿ガーデンプレイス内の『ビヤステーション恵比寿』跡地に開業。吹き抜け2階建ての空間に約200席を有する大型店舗で、ライブステージを目前に楽しめるダイニングをはじめ、バー、ラウンジ、個室、テラスと多様なニーズに対応する客席構成だ。

目の前のステージで行われる演奏は圧巻(画像提供:『ブルーノート・プレイス』)

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ジャズを中心に国内外の著名なミュージシャンが出演する『ブルーノート・プレイス』では、「音楽も食も、超一流を目指す」という理念を掲げ、スタッフが一丸となってその実現に取り組んでいる。

まず特筆すべきは、音楽と食を最大限に楽しむための空間づくり。田口音響研究所製の特注スピーカーをステージ横や客席に設置するほか、店内の各所に温度計を置いて一定温度を保ち、演奏中は余計な音を排除するため空調を切るなど、音響や照明などの専属スタッフを含め、1日数十名のスタッフが音楽に集中できる環境を支えている。

また、ブックディレクターの幅允孝氏率いるバッハが監修した本棚や、壁に飾られたレコード、現代アートなどを店内に散りばめることで非日常感を巧みに演出している。同店マネージャーの山本貴之氏は、「カウンター内など細部に至るまで、お客さまの視界に入る部分はすべて徹底するようにスタッフの意識レベルを高めています」と説明する。

モダンアメリカンをコンセプトにした料理を提供(画像提供:『ブルーノート・プレイス』)

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一方、食に関しては、『ブルーノート東京』よりもコースの皿数を増やし、ナチュラルワインやウイスキーの品揃えを強化するなど、同店独自の魅力を構築。さらに、ミュージシャンとコラボしたメニューなど、ライブレストランならではの企画でもファンを喜ばせている。

「ライブも良かったし、食事も本当においしかった、という相乗効果で高い満足感を与えられるのがうちの強み。ただそれだけではなく、お客様に『さすがだね』と言っていただけるように、常にアンテナを張って新しいものを取り入れるようにしています」と山本氏。海外のトレンドをいち早くチェックしたり、埼玉の自社農園へスタッフと出向いて畑仕事をしたり、店舗外からインスピレーションを得る機会を大事にしているという。

山本氏は、アメリカで映像関係の仕事に従事し、日本で舞台照明を担当したのち株式会社ブルーノート・ジャパンに入社。『ブルーノート・プレイス』含め数店舗の立ち上げに関わってきた

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快適な食事環境のために、テーブルのがたつきを解消する器具を全席に装着

「超一流の店づくり」の実現には、食事中の些細なストレスも命取りになる。『ブルーノート・プレイス』では、客席間やテーブルの幅を広く確保するなど、より快適な食事環境の整備に力を入れてきた。なかでも山本氏が注力したのが、テーブルのがたつきをなくすことだ。

『ブルーノート・プレイス』は、元の建物の瀟洒な赤レンガ造りを壁や床の一部に残しているため、テーブルを置くとがたつきが生じ、頭を悩ませていたという。それを解決するために導入したのが「ティ・バランス」というテーブルの脚に装着するツールだ。

「内装を手掛けていた会社から『いいアイテムがある』と聞き、試しに1個つけてみたら本当にピタッと止まるので感動しました。すぐに全テーブルに装着しました」

『ブルーノート・プレイス』の2階は素材の異なる床材が組み合わさっているが、「ティ・バランス」を装着してからはがたつきが軽減

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そもそもテーブルのがたつきの原因は、床材やテーブルそのものの反り・歪みによることが多く、せっかく調整してもテーブルを少し動かすだけでがたついてしまうことが少なくない。同店が導入した「ティ・バランス」は、独自の「油圧ダンパー方式」により床とテーブルとの隙間を瞬時に調整。工具不要でほとんどの形状のテーブルに取り付けることができる。

油圧ダンパー方式」の可動部の仕組み。装着すると自然に伸縮し、テーブルの脚4点にかかる荷重が等しくなると止まり、自動的にテーブルのがたつきが抑えられる(画像提供:株式会社ティ・カトウ)

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可動部のアジャスターの内部には上の図のようにオイルとスプリングが仕込まれており、テーブルに荷重がかかると沈み込み、逆にテーブルの脚が浮いていると伸びる仕組みになっている。そのためテーブルの脚に取り付けるだけで、最長10秒ほどでテーブルのがたつきが解消する。テラコッタやタイル、木材のような凹凸のある床材でもがたつきを抑えることが可能だ。さらに、アジャスターの床に接する部分は丸みを帯びた形状で、テーブルを移動させる際に段差などで起こるひっかかりを軽減させるデザインとなっている。

これまで複数店舗を立ち上げた経験のある山本氏は、「テーブルのがたつきは、どの店舗でも直面してきた課題」だと語る。

「がたつきを抑えるには、もともとテーブルについているアジャスターを回して調整することが多いのですが、いつの間にか1個だけ取れてなくなってしまっていたりする。お客さまが座ってしまうともう調整できないので長年の悩みでしたが、ティ・バランスを装着していれば、自動的に調整してくれるのがすごい。革命的な器具だと思います」

料理を出す際は必ず一言添えるなど、ゲストとの接点を増やすサービスを意識している

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お客との積極的なコミュニケーションで、記憶に残る店に

『ブルーノート・プレイス』では、一流の店を目指していくために、「サービス面では常にお客様目線に立ち、何が足りないかをスタッフ全員で考え意見を出し合うことを大事にしている」と山本氏は語る。

オープン前に、ホールスタッフが責任をもって自分の担当するテーブルをチェックし、自分で座ってみてがたつきがないかを確認してからセッティングするのも「お客様のために最善の準備をする」という意識を徹底するためだ。以前はテーブルの調整に時間がかかっており、調整したはずなのにセッティング後にがたつきが生じることもあったというが、「ティ・バランス」を装着してからはその手間がほとんどなくなり、その分、本来のサービスに力を注げるようになったという。

記念日利用も多い同店では、営業前に各卓のお客の利用動機やシチュエーションをスタッフが把握し、コースを食べ慣れていない若いカップルには緊張感をほぐすような接し方をし、常連の一人客には必ず話しかけるなど、それぞれに合ったサービスを心掛ける。音楽に詳しい常連客との会話から新しい企画が生まれるなど、お客へのアクションがよりよいサービスにつながるケースも少なくない。「幅広い層の方に、ブルーノート・プレイスのファンになっていただきたいですし、働くスタッフにも『ここで働いてよかった』と思ってもらえる店にしていきたいです」と山本氏は語る。

飲食店の体験価値とは単に空間や料理の魅力にとどまらず、どこまでお客の立場になって物事を捉えられるか、スタッフの意識レベルによる部分も大きい。テーブルのがたつきのような些細な違和感を見逃さずに追求できるかどうかが、一流の店づくりに繋がるのではないだろうか。

■「T.balance(ティ・バランス)」の製品概要はこちらから

『BLUE NOTE PLACE(ブルーノート・プレイス)』
住所/東京都渋谷区恵比寿4-20-4 恵比寿ガーデンプレイス
電話番号/03-5789-8818
営業時間/月~土11:30~23:00、日祝11:30~22:30
定休日/不定休
席数/200

[提供] 株式会社ティ・カトウ

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『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

ライター: 『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

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