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平日も常に女性で満席の人形町『パーラー305』。「新規客でにぎわう店」を叶えた方針転換とは

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2階には椅子席と小上がり、2卓を用意

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「SNSへの投稿も仕込みのうち」とほぼ毎日発信

大きく変えたのは、若い世代の目に触れるようにとInstagramに力を入れるようになったことだ。ワンオペゆえに仕込みに時間を取られがちで、それまでは集客にはほとんど力を入れてこなかったが、お客からは意外にも「Instagramを見てきました」「ハッシュタグで探しました」という声が多かったという。「SNSへの投稿も仕込みのうち、と捉えるようになり、ほとんど毎日、メニューやワインの情報を発信しています」と久保氏は語る。

SNS運用の効果が本格的に出始めたのは、コロナ禍が落ち着きを見せはじめた2022年頃。それまで客席を占めていた常連客の代わりに「いつか行ってみたい」とブックマークをしていた若い世代の目的来店が一気に増え、売上や客単価も急増。現在は週4日の営業で平均月商130万円、客単価5,000~10,000円を維持しているという。

客層の95%は女性で、20~30代のグループやカップルがほとんどだ。男性グループや男性の1人客をNGにしているわけではないが、コンセプトや店の雰囲気にそぐわないと判断した場合は、断るケースも少なくない。小さな店を1人で切り盛りしているからこそのリスクヘッジだ。

フードメニュー。白い付箋で貼られたメニューが「季節のおすすめ」にあたる

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ナチュラルワインに合う料理&デザートを軸に、2名~向けにメニューを構成

以前はほとんどのメニューを小ポーションで提供していたが、現在は“シェアして楽しむ”ことを想定した構成に変更。

フードメニューは、『オザミトーキョー』時代の先輩から受け継いだレシピをもとにアレンジしたという「牛ハチノスのレモン煮込み」(1,000円)をはじめ、「生ハムペーストを練り込んだプチシュー」(750円)や、「長ネギとしいたけと白カビチーズのグラタン」(1,100円)などワインの“アテ”が中心。ワインとデザートのペアリングも推しており、「タルトタタン」(1,000円)や「シナモンアップルチーズケーキ」(850円)なども並ぶ。

「タルトタタンなど時間がかかるものは、クレームダンジュやプリンなど仕込みがあまり手間取らないものと組み合わせて仕込みます。あとは、じゃがいものピューレを仕込んだら複数のメニューに使うなど、オーダーを受けてからあまり手を加えずに済むように工夫しています」

定番の前菜より「生ハムペーストを練り込んだプチシュー」(写真提供:『パーラー305』)

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1人客が中心だった頃は、来店頻度を上げるため「何度来ても“新しい味”に出合える」 ことを意識していたが、現在は「“いつもの味”に加えて、季節の野菜やフルーツを使ったメニューをいくつか揃える」スタイルに。

ドリンクのメインは、自身もこよなく愛するナチュラルワインだ。グラス(1,100円~)常時赤、白各3種、オレンジ2種、ロゼ、スパークリング各1~2種を用意する。

ドリンクメニュー

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河西みのり

ライター: 河西みのり

フリーランスで活動するライター&インタビュアー。現在はソーシャルメディアや業界紙など多岐に渡り執筆。飲食店取材からレシピ本の編集、お取り寄せカタログのコピーまで“食”にまつわる分野を得意とする。