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平日も常に女性で満席の人形町『パーラー305』。「新規客でにぎわう店」を叶えた方針転換とは

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看板メニューの「牛ハチノスのレモン煮込み」と「ゴーダとクルミのチーズケーキ」。どちらもワインと相性抜群(写真提供:『パーラー305』)

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「飲食を通して、笑顔を増やす」根幹はブラさず、柔軟に前進したい

アルコール離れが進む昨今、メイン客層が20~30代女性と聞くと、デザート目当てやカフェ利用を目的とするお客も多いのではと想像するが、どのように対処しているのだろうか。

「ノンアルコールのお客様のためにジュース類や炭酸水は置いていますが、やはり『お水でいいです』と言われることも。そこで、飲み物を頼まない場合は席料として500円いただくようにしました。Instagramでデザートを紹介する際は、『ワインと一緒にどうぞ』や『コーヒーはありません』と意識して発信するようにしています」と久保氏。また、1組につき3時間までと滞在時間に制限を設けることで、適度に回転を促す工夫もしている。

「新しいお客様が増えれば、やはり新しい課題が生まれるのだなと日々実感しています。その時に応じて店の仕組みを変えられるのは、1人でやっているからこそですね」と朗らかに笑う。

店名は学生時代に所属していたダンスチームに由来。カフェ開業を夢見ていた頃も店名を『カフェ305』と想定していたのだとか

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今後について尋ねると、築80年近い物件の老朽化が進んでいることもあり、いつまでこの場所で続けられるかわからないとのこと。

「第1子出産はオープンしてちょうど1年の頃だったので、飲食店としても、女性店主としても下に見られたくないという思いがあり、産後は2週間で復帰、むしろ、他の飲食店と変わらない営業日・時間にしていました。第2子を出産し、子どもたちが大きくなるにつれて、『たくさんのお客様が来てくださるようになっても、私が多忙で倒れてしまったら、大切にしてきた“足元からの平和=笑顔”を身近な所で失ってしまう。そうなったら、お客様を笑顔にすることはできないのでは?』と気づきました。そこから営業日を週4日に減らし、家族の行事などに合わせて休業するなど、流動的にしています」

開業を夢見ていた頃やオープン当初は、常に大きな目標に向かって突き進んできた。しかし、今はさまざまな経験を重ね、自身の環境も変化する中で、「柔軟でありたい」と思うようになったという。

「これからもずっと飲食業に携わっているだろうなと思いますが、「〇〇歳までに絶対にこれをやる!』と決めるのではなく、小さな目標を日々立てながら、より良いお店を作っていけたら」

久保氏の飾らない人柄、おおらかさが、若い世代を惹きつけてやまない最大の理由かもしれない。

『パーラー305』
住所/東京都中央区日本橋富沢町2-1
電話番号/03-6206-2879
営業時間/火木17:00~23:00(L.O.22:00)、金18:00~23:00(L.O.22:00)、日12:00~22:00(L.O.21:00)
定休日/月水土
坪数・席数/12.7坪・14席
https://www.instagram.com/parlour305/

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河西みのり

ライター: 河西みのり

フリーランスで活動するライター&インタビュアー。現在はソーシャルメディアや業界紙など多岐に渡り執筆。飲食店取材からレシピ本の編集、お取り寄せカタログのコピーまで“食”にまつわる分野を得意とする。