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坪月商63万円『青山一丁目たぬき』。大衆酒場“未開の地”、それでもStyLe社が勝つ理由

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人気の「牛もつ煮込み」はカウンターに用意されている

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「定番8割+おもしろみ2割」のメニュー展開

人気メニューは数あれど、入り口すぐのカウンター越しで湯気をあげる「牛もつ煮込み」(700円)は格別だ。「ハムエッグ」(600円)などの定番料理が8割ほどを占めながら、残りは意外性やおもしろみのあるメニューを用意する。

とんこつラーメンの具のごとく、紅生姜をのせた「焼き豚 IN 博多」(650円)、福岡のうどんで馴染みのごぼうの天ぷら「カリカリごぼちゃん」(600円)など、ワクワクするメニュー名も魅力だ。旬のメニューも用意し、50品程度を提供している。

福岡のうどんのトッピングをアレンジした「カリカリごぼちゃん」。メニュー名も楽しい(写真提供:『青山一丁目たぬき』)

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また、オープン時から人気の「自家製麺」は、店の製麺機で作り上げるこだわりぶりだ。

「大衆酒場としてきちんと営業しながら、“こんなに〆にこだわってるの?”という店を作りたかった。おいしい麺が〆に食べられるとうれしいはず」

「食べたいものを自由に食べるのが大衆酒場の楽しさ。それがちゃんとおいしければ最高じゃないですか」と石川氏。そう言い切れる強さは、創業からの10年間に詰め込まれた、濃度の高い経験を物語る。

店の製麺機で打つこだわりの「自家製麺」(写真提供:『青山一丁目たぬき』)

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「本人以上にその人のことを考える」。接客の需要はますます高まる

繁盛店を次々と手掛ける石川氏だが、「特別に選ばれて来てもらうには『人』の部分がまず大事」と断言する。人とは接客、活気、おいしい料理を作る人などだ。

「立地、人、業態の中で、一番寿命が長いのが立地。良い場所は生き続ける。だけど、業態がパッとしなくても、人が素晴らしければ会いに行く。この3つの組み合わせを試行錯誤してきましたが、これからはますます接客の需要が高まっていくと感じています」

店のマニュアルは最低限にとどめ、「お客様本人以上にその人のことを考えよう」と、教育する。「今、相手が何を求めているのか」と心を配ることは、店に限らず会社でも大切にしていることだ。StyLeは「飲食を楽しむ人を増やす」を企業理念に掲げている。

「飲食店で働くスタッフは、お客様の喜ぶ姿を見ることがモチベーションにつながります。お客様に楽しんでもらうためには、まずはスタッフたちが生き生きと働く必要がある。だからこそ、給与などの待遇面、労働環境の整備といった、スタッフたちが安心して働ける環境を提供しようと努めています。会社作りの上に店作りが乗っかってくると僕は考えています」

2月上旬には、予約の取れない店となっている中野『洋食堂葡萄』の姉妹店を神楽坂にオープン。古民家を改装した空間はすでに注目を集め、チャレンジはとどまることはない。さらに、この『青山一丁目たぬき』も今後さらなる展開を考えているようだ。

「大切なのは立地。いい立地があれば、2号店、3号店のオープンも視野に入れ、ここで培ったコンテンツをさらに展開していきたいです」と、超繁盛店のさらなる高みを目指すことを明かしてくれた。

『青山一丁目たぬき』
住所/東京都港区南青山1-3-6 都営南青山一丁目アパート6号棟 1F
電話番号/03-6384-5350
営業時間/月〜金17:00 ~23:30(フードL.O.22:45、ドリンクL.O.23:00)、土日祝16:00~23:00(フードL.O.22:00、ドリンクL.O.22:30)
定休日/無休
席数/48

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神田えり子

ライター: 神田えり子

ライター・料理家。広告営業、料理教室講師を経てフリーのライター・料理家に。旬の野菜を使ったおばんざいが得意。食まわりの執筆のほか、レシピ開発、フードコーディネーター、イベントやメディア出演などの活動をしている。趣味は散歩、ときどき観劇。