吉祥寺で連日満席の『呑楽Neko』。3人の同級生がたどり着いた“当たり前の居酒屋”とは?
ホテル時代の技術が生かされた料理とマニアックなドリンクが人気
現在、キッチンは磯谷氏がほとんど1人で切り盛りする。といっても、ホテルではコース料理を提供していたため、居酒屋メニューを考えるのは初めての挑戦だ。オープン時に野内氏からは「ジャンルにとらわれず、新しいものを生み出してほしい」という要望があり、さまざまな店を食べ歩き、トレンドや人気メニュー、価格帯などを研究。あえて“看板メニュー”は作らず、メニューのほとんどは季節や仕入れの状況に合わせて入れ替えているという。
そんな中、オープンから根強い人気を誇るのが「フライドポテトとろけるアンチョビガーリックソース」(760円)だ。一度蒸してから冷凍したじゃがいもを揚げることで、外側はカリッ、中はもっちりと仕上げる。「今まで食べたフライドポテトの中で、一番美味しい!」という声が多く寄せられているのだとか。
既製品に頼らず、一つひとつの料理に手をかけているため、「とにかく仕込みが命」と磯谷氏。コース料理の基本であるソースづくりなど、ホテルで学んだ技術も存分に活かされているという。
「大切にしているのは、オーダーが入ってからなるべく早く提供すること。メニューを考える時も『これを作りたい』という発想ではなく、買い出しから仕込み、オーダー、提供まで、ひと通りの流れを考えた上で決めます。バランスとしては、オーダー後にすぐに提供できるように仕込んでおくものが5割、オーダー後にちょっと手間をかけて仕上げるものが2、3割といった具合です」
ドリンクは富田氏の担当だ。どんな好みの人にもハマるようにと、ビール(小瓶600円~)や焼酎類(650円)、ワイン(グラス1,000円~)、日本酒(720円~)、など一通り揃えるが、「普通じゃおもしろくないから」とややマニアックなセレクション。
富田氏も居酒屋で勤務した経験がなかったため、何を提供するか、かなり悩んだようだ。試行錯誤の末に生まれた「すりおろし!至極のレモンサワー」(720円)は、単にすりおろしたレモンを使用しているのではなく、レモンを絞って果汁と果皮に分け、3回以上茹でこぼした皮と果汁をミキサーにかけてペースト状にしてから使うというこだわりぶり。
「クラフトジンもちょっと珍しいものを揃えています。ボトルが空くたびに入れ替わるので、来るたびに新しい銘柄を楽しんでいただけると思いますよ」と富田氏。
