飲食店ドットコムのサービス

砂田兄弟の昼業態・渋谷『CHERRY PICK HILLS』。ファミレス×カフェの普遍性に着目

LINEで送る
Pocket
follow us in feedly

働き方や容姿の自由度を高めたことも重なり、オープニングの求人には450件もの応募が

画像を見る

昼業態への挑戦、きっかけは大切なスタッフ

そもそも二人が昼業態に踏み出したきっかけは、これまでも常に大事にしてきた「人」、つまりスタッフの活躍の場を広げるためだった。当時『大人気』に勤めていた信頼するスタッフの一人が「労働スタイルを朝型に変えるために店を離れたい」と声を上げたことを機に、夜中心の居酒屋の雇用形態には制限が大きいことをあらためて感じたと語る。

「どんなにいいコンセプトを設計できたとしても、働く人で店は大きく変わる。誰と一緒に店をつくるかはすごく大切です」と健太氏が切り出せば、「互いに一緒に働きたい気持ちはあるのに、スタッフが望むライフスタイルと、店の業態とのミスマッチによって離れざるを得ないなんて、寂しすぎるじゃないですか」と康太氏も続けた。

ましてやこれからは今まで以上に、ライフワークバランスが重視される時代になるだろう。結婚や出産といったライフイベントを控える将来世代のスタッフのためにも、居酒屋ではない業態へチャレンジするチャンスをもらったと二人は振り返る。

ファミレスに学ぶ、渋谷で愛される“普遍的ニーズ”

ではなぜ、カフェダイナーだったのか。解像度を高めたのは、物件との出合いだったという。桜丘といえば、広い渋谷の商圏の中でも商業地とオフィスビルのすぐそばに生活圏が隣接するやや閑静な一画。金銭的に余裕がある人が多く、かといって人通りは十分にあり、近年は「Shibuya Sakura Stage」に代表されるとおり開発も盛んだ。

学生時代に通っていた、カフェブームの立役者『バワリーキッチン』(駒沢大学)をリスペクトする康太氏

画像を見る

「センター街や道玄坂がある駅東側から離れているイメージがあるかもしれませんが、実際は国道246号を挟んですぐです。向こう側で買い物を楽しんでいた人がここまで足を延ばすハードルはそんなに高くない。いい店がつくれれば、どこからでもいろんな人に来てもらえると睨みました」(康太氏)

思い浮かべたのは、渋谷の“ランドマーク”となった店の姿だ。なにせここは、渋谷で働く人・暮らす人・遊ぶ人が思い思いに行き交い、足を運ぶことができる場所。つまりそのすべてを迎え入れるだけのポテンシャルがある。そのためには、いつでも・万人に・長く愛されるコンテンツが不可欠であり、そのヒントがファミレスにあったと砂田兄弟は顔を見合わせた。

店舗のデザインは健太氏が担当

画像を見る

「ファミレスってどのチェーンにも必ず一定の超定番メニューがあって、それが何十年と変わらず続いているんですよね。渋谷の街でも例外なく」(健太氏)

「奇をてらわないからこそ流行りに流されないし、年齢を重ねてもライフスタイルが変わっても必要とされる。つまり『全世代に愛される、普遍的なニーズ』がそこにある。かっこいいファミレスのようなカフェダイナーができれば、永く愛される渋谷の“ランドマーク”になれるかなって」(康太氏)

Pocket
follow us in feedly
飲食店ドットコム通信のメール購読はこちらから(会員登録/無料)
飲食店ドットコム ジャーナルの新着記事をお知らせします(毎週3回配信)
RIN

ライター: RIN

カフェライター・エディター。街の小さな一軒からトレンドカフェ、昔ながらの喫茶店まで、カフェという場を通じて幸せを提供してくれる人の声と熱を届けるのが好き。ライフワークは"スコーンの人"(IG:@rin_125)。