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「焼酎×創作料理」で坪月商62万円の渋谷『IGOR COSY』。代々木上原の新店も好発進!

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炭火で焼き上げる「名物 黒岩土鶏のたたき」一人分880円~と、宮崎の芋焼酎「山ねこ」のソーダ割750円

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炭火焼き+原始焼きをメインに、生産者とのつながりや季節感を大切にした料理を提供

渋谷本店では、炭火焼きや原始焼きの料理をメインに据え、厳選された食材の持つポテンシャルを最大限に引き出すことに心血を注ぐ。「名物 黒岩土鶏のたたき」は、備長炭で火入れされ、香ばしい炭の香りと共に、しっとりとした食感と地鶏ならではの力強い旨味が口の中に広がる逸品だ。また、「雲丹のせ豚焼売 ライムリーフの香り」も不動の人気メニュー。ふんわりと蒸し上げられた焼売の上に濃厚な雲丹を贅沢に乗せ、ライムリーフのエスニックな香りがアクセントを加えている。

渋谷本店のフードメニュー。1,000円以下のメニューが多く、手が届きやすい価格帯で展開

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単においしい料理を提供するだけでなく、お客を楽しませるエンターテイメント性も忘れない。例えば、オープン当初から提供している「名物 アジア風 鶏土鍋ご飯」(1,780円)は、タイ料理のカオマンガイをイメージしており、鶏だしとナンプラーで風味豊かに炊き込んであり、パクチーや多彩な薬味を添えて提供。それをスタッフがお客の目の前で具材を混ぜ合わせたり、複数の薬味で味の変化を楽しませたりと、一口食べるごとに新たな発見があるよう工夫が凝らされている。こうした細やかな配慮と遊び心が、記憶に残る食事体験を創り出し、お客の満足度を格段に高めているのだ。

渋谷店では焼酎650円~を約45種類ラインアップ。乾杯ドリンクはビールやサワーが多いが2杯目で焼酎を頼む人がかなり多いという

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前割り、シェイクしてワイングラスで提供するなど「焼酎」の新たな楽しみ方を提案

IGOR COSYのアイデンティティを語る上で欠かせないのが、本格焼酎への並々ならぬこだわりと愛情だ。ディレクターの丸山氏は、元々フランス料理出身でナチュラルワインを扱っていたが、近年、焼酎の蔵元たちが世代交代し、同世代の作り手たちの焼酎に対する情熱や未来への思いに深く共感したことが、焼酎に焦点を当てる大きなきっかけとなったという。

「若い人たちを含め、今まで焼酎に触れてこなかった人たちに、飲むきっかけをいかに作るかを常に追求しています」と桜井氏が語るように、その思いを形にするため、提供方法にも革新的な工夫を凝らす。

その一つが、ワイングラスでの提供だ。水割りやソーダ割の場合、常温の焼酎を、氷を入れたシェイカーでシェイクして温度を下げ、その後水やソーダを加え、ワイングラスで提供する。これにより香りを感じやすく、味が薄まらず、ワインのように温度帯の変化で味の変化も楽しめるという。

もう一つが、焼酎の「前割り」だ。特定の焼酎は、あらかじめ割り水をして数日間寝かせることで、よりまろやかな味わいになる。このような従来の焼酎のイメージを心地よく裏切るアプローチで、新たなファン層を開拓した。

一杯目はビールやサワーから入ったお客も、スタッフの熱意ある説明や、これまでにない飲みやすさに触れて、次の一杯として焼酎をオーダーするケースがほとんどだという。蔵元の思いを伝えるため、スタッフが蔵へ研修に赴くなど、生産者のバックヤードを知る努力も怠らない。

利益構造については、「厳選した食材を使っているためフード原価が高い分、原価の低い焼酎をオーダーしてもらうことでバランスを取っています」とフードをドリンクでカバーしていると中村氏は明かす。お客が気軽に通える価格帯と、提供価値に見合う価格設定との間で、常に最適なバランスを模索している様子も垣間見える。

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中森りほ

ライター: 中森りほ

グルメ系ウェブメディアの編集・ライターを経て2017年よりフリーライター&編集者として活躍。『食べログマガジン』『Web LEON』『Numero.jp』などで、グルメや旅記事を執筆中。