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世界No.1ピッツァ職人! 『イル・タンブレッロ』大坪善久氏が語る「選手権優勝の舞台裏」

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店ではステファノ・フェラーラ社製の窯を使用。90秒前後で焼き上げるのが伝統的手法だ

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26年磨き続けた技が輝く! 世界大会の舞台裏

こね上げた生地を長時間発酵(24時間以上)させるのも、複雑な風味、豊かな食感を生み出すナポリピッツァの大切な要素。大坪さんは大会当日の朝、その発酵させた生地を試し焼きして自らの師に振る舞ったという。

「師匠に『オッケー!』と認められた瞬間、気持ちが大きく切り替わり『もう何が起きても大丈夫』と自信を持って会場に向かうことができました」

8台の窯が並び、それぞれの台で3人の審査員が厳正な評価を行う大会本番。焼き窯の温度は想定よりも低かったというが、内部の温度差を見極めながら生地を巧みに動かし、審査員好みの焼き上がりを目指したと大坪さんは明かす。

炉床温は450℃が基本。薪窯を管理する職人「フォルナイオ」にも技術や経験が必要だ

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「クラシック派、オリーブオイル強め派、軽いタイプ派など、実は審査員にもそれぞれ好みがあるんですよ。僕の担当はクラシック派が多かったため、90年代っぽいしっかりした縁(コルニチョーネ)を意識しました」

ソースのない部分が盛り上がり縁(コルニチョーネ)に。膨らみ具合も流行により変化する

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幼いころからピッツァが生活の一部だった本場ナポリの巨匠たちから「オティマ!(最高)」と、満点に近い高得点を獲得した大坪さんの「マリナーラ」。窯の扱い方、スピード感、清潔さ、所作など、職人としてのすべてが評価された瞬間だった。

「27歳という遅めのスタートながら、毎日80~100枚のピッツァを焼き続けてきた経験が活きたのだと思います。準備不足での大会挑戦でしたが、イタリアの職人仲間たちに『これまでのお前のすべてが準備期間だった』と言われたのも嬉しかったです。本当の意味でナポリに認めてもらえた瞬間でした」

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佐藤 潮.

ライター: 佐藤 潮.

ミシュラン三つ星店から河原で捕まえた虫の素揚げまで、15年以上いろいろなグルメ記事を制作。酒場系の本を手掛けることも多く、頑固一徹の大将に怒られた経験も豊富だ。現在、Webのディレクターや広告写真の撮影など仕事の幅が広がっているが、やはりグルメ取材が一番楽しいと感じている。