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ワタミが定年65歳、再雇用75歳へ。飲食店経営者が知っておくべき「高年齢者雇用安定法」の改正

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ワタミ株式会社(以下、ワタミ)が2025年11月より、定年を65歳、再雇用を75歳へ延長すると発表した(参考1)。背景には、全企業が対象の「高年齢者雇用安定法」改正があるようだ。ワタミの取り組みを紹介しつつ、飲食店経営者が知るべき法改正のポイントと、シニア活用の「次の一手」を解説する。

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ワタミが定年を60歳→65歳、再雇用も70歳→75歳へ延長

ワタミは、一人でも多くの社員がより長く安心して働ける環境を整備するため、定年を60歳から65歳へ引き上げ、再雇用の上限も70歳から75歳へ延長すると明らかにした。同社はその目的を「社員の幸せ」の追求だとする。物価高騰や年金不安の中、長く働ける環境が社員の安心につながると考えたようだ。

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2025年4月より義務化された「65歳までの雇用確保」とは?

このニュースの背景には、「高年齢者雇用安定法」の改正があり、2025年4月1日より飲食業を含むすべての企業で「65歳までの雇用確保」が義務化されている(参考2)。かつては経過措置として、労使協定があれば継続雇用の対象者を限定できた。しかし、その猶予期間は2025年3月31日をもって完全に終了している。今や、店の規模にかかわらず「希望者全員」を65歳まで雇用する義務がある。企業に求められる選択肢は、以下の3つだ。

1. 定年を65歳に引き上げる
2. 定年制そのものを廃止する
3. 65歳までの継続雇用制度(再雇用や勤務延長)を導入する

どの選択肢を選んでも、就業規則の変更と労働基準監督署への届出は、すでに完了していなければならない。ワタミの動きは、この義務である65歳を定年として受け止め、さらに75歳という未来に踏み込んだといえるだろう。

「義務」の先にある「シニア戦力化」という次の一手

人手不足が深刻化する中で、長年店を支えたベテランスタッフを、法律上の「義務」という枠組みだけで捉えるのは、あまりにもったいない。「法律で決まったから」「給与を下げて簡単な作業だけ」という対応に落ち着いてはいないだろうか。

シニア層は、単なる「穴埋め」の労働力ではない。安定したオペレーション能力や、常連のお客の好みを記憶した接客術は、長年の経験が培った「店の強み」にほかならない。だからこそ、このタイミングで自店の体制を見直してみてはどうだろうか。例えば、以下のような視点だ。

・経験豊富なベテランに、新人教育を任せられないか?
・常連客との関係性を活かし、フロアのまとめ役をお願いできないか?
・体力的な負担を減らしつつ、彼らの「目」や「経験」を活かせるポジションはないか?

ワタミの75歳という数字は、シニア層を戦力化する覚悟の表れとも受け取れる。この時代を生き抜くために、義務の一歩先を行く次の一手を考える時が来ているようだ。

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『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

ライター: 『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

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