アルバイト1人の欠勤で崩壊。『なか卯』“床に食器”騒動に学ぶ、飲食店の人手不足対策
2025年10月下旬、牛丼・うどんチェーン『なか卯』の店内で、使用済みの食器類が厨房の床にトレーごと置かれている画像がSNSで拡散され、波紋を呼んだ(参照1)。X(旧Twitter)などでは「オペレーションが成り立っていない」との批判的な声が相次いでいる。この件を踏まえ、人手不足が飲食店にもたらすリスクと、今備えるべきポイントについて考えてみたい。
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「1人休んだら崩壊」人手不足がもたらす現場リスク
『なか卯』の広報担当者は、問題の店舗では当日、予定していた従業員1名が急きょ欠勤したため、「本来お客さまへ提供するべきサービス水準に満たなかった」と説明している(参考2)。しかし、これに対して「たった1人の欠勤程度でサービス低下が生じること自体問題だ」という批判が増え、店舗のオペレーション体制を疑問視する声も高まった。
いわゆる“オペレーション崩壊”は『なか卯』だけの問題ではない。近年、飲食業界全体で慢性的な人手不足が続き、ワンオペやギリギリのシフト体制が常態化している店舗は少なくない。また、「欠勤すれば店が回らなくなる」というプレッシャーを抱える従業員をねぎらう声もSNSでは多く上がっていた。
現場の努力だけに頼らない、リスク分散型経営へ
飲食店経営者に求められるのは、現場の負担を減らし、突発的な欠勤にも耐えうる柔軟なオペレーション体制を整えることだ。
例えば、作業の自動化・効率化は有効な選択肢の一つだ。配膳ロボットの導入はすでに多くの飲食店で進みつつあり、配膳・下げ膳などの単純作業をロボットが担うことで、スタッフは接客や調理に集中できる。また、注文・決済をセルフ化するモバイルオーダーやセルフレジも、少人数運営を支える定番施策といえる。
業態によっては「人の手でなければ難しい」という店舗もあるだろう。そのような場合に注目したいのが、スポットワーカーの活用だ。単発で人材を確保できるマッチングサービスとの提携は、急な欠勤や繁忙時に役立つほか、長期雇用の採用につながるケースもあるようだ(参考3)。
さらに、複数店舗を持つチェーン店であれば、周辺店舗同士で人員を融通できるよう、シフト管理を本部レベルで一元化する体制構築も有効だろう。これは人材不足を補うだけでなく、従業員同士のスキル共有やチーム意識の醸成につながり、離職を防ぐ手立てにもなるはずだ。
余剰人員の確保や自動化は追加コストと捉えられがちだが、現場に頼るのではなく「誰が休んでも回る店」をどう作るか――。オペレーションを仕組みで守る発想が、これからの飲食店経営には求められている。この機会に、改めて自店のあり方を検討してみてはいかがだろうか。









