連日満席の神泉『ANDs.』。繁忙を極めるイタリアンバルを救った“評価制度とチーム力”とは?
アルバイトが自ら学ぶ“時給アップ制度”の威力
『ANDs.』のチーム力の基盤となっているのが、明確な評価制度。共同経営者の一人が企業コンサルタント出身という強みを活かし、アルバイトの成長を促す仕組みを確立している。例えば、3か月に1度実施する知識テストの結果に応じて、時給がアップする賃金設計だ。
「商品知識・提供に関わるテストを実施しています。正解数に応じて最大で+70円の時給アップです。テスト内容は、お客さまから頻繁に尋ねられる簡単なものばかりですよ」
そのほか独自の職務評価の手法に基づいて最大+300円アップの店長加算手当、月間売上をクリアすればスタッフ一律+100円の大入り手当、積極的にシフト協力による時給アップなど、多彩なインセンティブを用意。試用期間は時給1,300円スタートだが、最終的には時給1,800円台まで目指せる設計となっている。
「スタッフにワインや食材の勉強などを促しても、全員が自発的に取り組むのは難しいものです。でもインセンティブがあれば自然と前向きになります。評価されることはスタッフたちの自信にもつながるし、こちらとしても教え甲斐がありますよね」
SNSではなく“求人サイト”が決め手だった理由
『ANDs.』のInstagramフォロワーは約2,800人。集客には抜群の効果を発揮しているが、求人では苦戦した。女性客中心のため、ホール志望はいても厨房経験者は稀だったのだ。
「SNS経由での応募は、正直少なくて。そこで手頃な料金だった『求人飲食店ドットコム』を利用してみたら、30~40件の問い合わせが来ました。SNSでの求人募集も多くの方の目に留まっているはずですが、ここまで違いがあるのかと驚きました」
新しく加わったスタッフたちは、それぞれの個性を活かしながらすぐにチームへ溶け込み、既存メンバーとの連携も自然に深まっていったという。
「新メンバーたちも個性豊かです。パティシエ経験者、日本で料理人として生きていきたいと語る台湾出身のスタッフ、ホテルレストラン経験があり弁護士を目指す学生など、頼もしい仲間ばかりで、こちらも自然と背筋が伸びます」と、西方氏は笑う。
お互いの強みを補い合うことで、営業中の負担は着実に分散され、キッチンの動きもよりスムーズに。結果として、日々のオペレーションは以前よりも安定し、次のステップを見据えた体制づくりが進みつつある。
「まだ成長過程のメンバーもいますが、それぞれのペースで確実に力をつけています。チームとしての厚みも増してきました。今後は営業時間や定休日の見直しなど、店としての伸びしろはまだまだあると感じています」と西方氏は語る。





