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渋谷『鶏汽爽惣』オープン当初は苦戦も月商270万円まで成長。SNSマーケが集客の起爆剤に!

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商品単価は近隣の店舗を参考に設定。このほかに季節メニューも用意する

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原価率に配慮しながら、酒が進む&満足度を追求したメニュー

メニューは中目黒と同様に数を絞って提供している。名物は、中目黒でも好評の「刺身3点盛り」(1人前1,300円)だ。経堂の老舗魚問屋「さかなや 魚真」から仕入れた鮮魚を使用しており、“3点”と銘打ちながら4~5点盛られることも少なくない。原価率は50%に達し、看板メニューとして来店客の支持を集めている。

儲け度外視、とにかく美味しいものを食べてほしいという「刺身3点盛り」(写真は2人前)

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ちなみに、刺身で上がる原価を調整するため、「痺辛麻婆豆富」(1,080円)や「純レバニラ炒め 温玉のっけ」(770円)、「鶏ハツ青椒肉絲」(880円)、「肉焼売」(660円)など、原価率の低いひき肉や内臓を使ったメニューを充実させている。どれも手間ひまをかけて仕上げられており、コストを抑えつつも満足感の高い料理を提供している。

一度食べたらやみつきになる人も多い「痺辛麻婆豆富」(写真提供:鶏汽爽惣)

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また、皿に残ったソースをぬぐって食べる「中華蒸しパン」(1個200円)も名物メニューのひとつだ。麻婆豆腐やエビチリ、酢豚などのソースと一緒に楽しむことができ、会話を生むだけでなく、客単価の向上にもつながっている。

さらに、刺身の切れ端や切り落としはチャーハンや春巻きに活用するなど、食材の無駄をほとんど出さない工夫がされている点も注目だ。

アツアツの「中華蒸しパン」は洋食でいうバゲットのような存在(写真提供:鶏汽爽惣)

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ドリンクでは、旬のフルーツを丸ごと絞った「爽快 丸ごと果実サワー」(880円)が人気だ。SNS映えを意識したメニューで、ノンアルコールにも対応している。このほか、ビールや焼酎、日本酒、ワインなどもそろう。また、焼酎のお茶割り(各種550円)を豊富に揃えることで原価を抑え、全体のバランスを取っている。

地元住民を主なターゲットにしている『大衆酒場 チャン栓チャン』では、ボトルキープが話題を集めた。一方、渋谷では、客層やニーズが異なることもあり、この仕組みは導入していない。

その代わり、『鶏汽爽惣』が力を入れているのがコースメニューだ。6,000円で〆やデザートも含め料理10品、2時間半飲み放題付きというお得感の高い内容で「まずは店を知り、気に入ってもらうきっかけになれば」と渋谷氏。

「爽快 丸ごと果実サワー」のラインナップは季節ごとにがらりと変わる。写真の柑橘は一例で、取材時はキウイやいちじくなどが並んだ(写真提供:鶏汽爽惣)

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さらに、お客に合わせたサービスも特徴だ。

「例えば麻婆豆腐は、1人前を作るのも1.5人前を作るのもほとんど手間が変わりません。多めに作って、『食べてみたいけどボリュームが気になって……』というお客さんに『よかったら、召し上がってみてください』と提供したり、お酒をたくさん飲まれる方には『濃い目にしときましたよ』と対応したり。マニュアルに縛られない接客は、中目黒、渋谷ともに意識しています」

このほかにも、呼ばれたらすぐに対応する、料理はなるべく待たせずに提供するといった「お客が飲食店に求める基本」を徹底することで、ストレスなく食事が楽しめる環境を整えている。こうした柔軟なサービスや店づくりに対する姿勢は、前職・楽コーポレーションで培った経験によるものだ。

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河西みのり

ライター: 河西みのり

フリーランスで活動するライター&インタビュアー。現在はソーシャルメディアや業界紙など多岐に渡り執筆。飲食店取材からレシピ本の編集、お取り寄せカタログのコピーまで“食”にまつわる分野を得意とする。