飲食店オーナー必見。『富士そば』騒動に学ぶ、外国人客への「貼り紙」炎上リスクと法令注意点
立ち食いそばチェーン『名代富士そば(以下、富士そば)』の東京・神谷町店で掲示された外国人客への貼り紙が、X上で拡散され物議を醸した。今回の富士そば騒動は、訪日客が増加する中、飲食店オーナーが直面する炎上リスクと法令遵守の重要性を改めて浮き彫りにしている。本記事では、この問題の背景と、飲食店オーナーが押さえておきたい法令上の注意点を解説する。
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「旅行者はご遠慮ください」。富士そば貼り紙騒動の経緯と炎上の背景
2025年11月下旬、東京・神谷町の『富士そば』に掲示された「旅行者の方は、ランチタイムの来店をご遠慮ください」という貼り紙がXに投稿され、大きな反響を呼んだ(参考)。貼り紙は、日本語・英語・中国語・韓国語で記されており、外国人観光客を念頭に置いた内容だ。
投稿は瞬く間に拡散され、インターネット上では「混雑緩和のためには必要」「常連を優先すべき」と賛同の声がある一方、「排他的すぎる」「表現が不適切」といった批判も多く寄せられた。背景には、訪日客の急増による混雑やマナーの問題があり、現場の事情に理解を示す意見も見られた。
その後、店舗が独自に掲示したことが明らかになり、本部は「お客さまに失礼」として撤去を指示。担当者は「現場の判断だったが、不適切だった」として謝罪した。貼り紙ひとつがチェーン全体に影響を及ぼす結果となり、現場対応の難しさと炎上リスクが浮き彫りになった形だ。
飲食店オーナーが知るべき「国籍を理由とする来店拒否」の法的リスクと民法上の注意点
今回のように、国籍や人種などの属性を理由に来店を制限する行為には法的リスクが伴う。確かに、民法第521条の「契約自由の原則」により、店舗側は契約の相手を選ぶ自由を有している。たとえば泥酔した客や迷惑行為など、社会通念上合理的な理由がある場合は入店拒否も正当とされる。
一方で、人種・国籍・性別・障害といった属性を理由とする拒否は「不当な差別」に該当し、公序良俗に反するとして無効となる可能性が高い(民法第90条)。仮に混雑緩和の意図があっても、法令違反や企業イメージの失墜といったリスクは無視できない。
また、SNSが普及した現代においては、小さな対応でも炎上に発展しやすく、信頼回復は容易なことではない。そのため、現場任せにせず、スタッフへの法令と接客マナーの教育が欠かせない。たとえば「混雑時は提供までお時間をいただく場合があります」といった中立的な案内や、整理券の配布、多言語対応など、差別にあたらない配慮を講じる工夫が求められるだろう。
炎上を避けるオーナーの心得。相互理解の接客姿勢で「トラブル」から「信頼」へ
『富士そば』での騒動は、訪日客増加に伴う飲食店の課題と、対応を誤った際のリスクを象徴する出来事といえる。特定の客層を安易に排除する対応は、法令違反や炎上の危険を伴う。飲食店オーナーには、法を守りつつ多様なお客と同じ空間を過ごすための工夫が求められているのではないか。
「お断り」ではなく、知恵と配慮で信頼を築く姿勢が、これからの店づくりに欠かせない要素となる。どう対応すればよいか、自店のオペレーションをいま一度見直してみてはいかがだろうか。










