京橋『美羊味坊』が好発進! 味坊集団が客単価1万円の高級中華に挑む狙いとは?
東京メトロ銀座線の京橋駅から徒歩3分、東京駅八重洲口からも徒歩7分という好立地に2025年9月にオープンした『美羊味坊(びようあじぼう)』。2000年にオープンした『神田味坊』をはじめ、様々な店舗で“ガチ中華”を提供し続ける味坊集団が手掛ける“羊”を中心に据えた高級中華レストランだ。
これまでカジュアルな中華料理を展開してきた味坊集団が、なぜ初の試みとなる“高級店”をオープンしたのか。味坊集団オーナーの梁宝璋(りょうほうしょう)氏と、「特級厨師」の資格を持ち厨房を統率する味坊集団料理総監の明信江(みんしんえ)氏に話を伺った。
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東京駅から徒歩7分の複合ビルにオープン。高級店で「新しい挑戦」を
『美羊味坊』は、京橋駅近くに2024年11月に誕生した複合ビル「TODA BUILDING」2階のレストランフロアにオープンした。東京駅からも徒歩7分という好立地で、エントランスはこれまでの味坊集団の店舗とは異なり、広く落ち着いた雰囲気が漂う。この地に出店を決めた背景には、同ビルに本社を構える戸田建設からの要請があったという。
「戸田建設さんから『味坊にぜひ入ってほしい』という話があったんです。最初はちょっと迷ったんですが、でも、場所的には本当に一等地ですし、チャンスなので頑張ろう、と決めました」
店のコンセプトは、オフィス街の複合ビルという場所を鑑み、これまでの味坊集団の店舗とは異なる高級路線を選択した。今までのカジュアルな店舗とは一線を画すため、当初は「ちょっと不安もありました」としつつ、梁氏は「会社として、新しい挑戦ですよね。料理の仕事を何十年もやっているので、新しい挑戦を、と思いました」と意気込む。
国賓接待経験を持つ“特級厨師”が厨房を統率! 高級食材とラム肉がコラボ
『美羊味坊』では、前菜、点心、主菜で羊をメイン食材として積極的に活用する。これまで、長きにわたって本場の中華料理と羊肉文化を日本で広めてきた味坊集団にとって、新店舗でも“羊”を中心に据えることは必然だったようだ。
「やっぱり『味坊といえば羊』というイメージがありますから。我々の料理で、もっともっと羊肉の魅力をみなさんに紹介したい。それと、羊肉は高級な肉だと認識してほしいという思いもあります。実は、羊肉は中国各地で最も食べられている一番人気の肉なんです。中国ではご馳走といえば羊肉、というイメージがあります。日本でも、クセが少ないラム肉は人気があるので輸入量も増えていますが、まだまだ『羊肉は臭い』というイメージを持っている方は多いですから」
羊肉を中心に据えた高級中華レストランは、日本のみならず中国でも初だという梁氏(※梁氏調べ)。場所柄に加え、厨房を統率する明氏の存在が“高級店”として欠かせない要素だったという。
「明さんは料理人として40年以上のキャリアがあり、中国料理界で最高峰の資格『特級厨師』を持っています。約30年前にアメリカ大統領が重慶を訪れた時に料理を担当した経験もある。このレベルの料理人がいることが大きいですね。フカヒレ、アワビ、ナマコなどの高級な中華食材とラム肉のコラボが楽しめるのもこの店の特徴です」
高級料理ゆえに原価率は高めで、「35%を超えています。中には40%近くの料理もあります」と梁氏。もちろん食材にとどまらず、調理法にも高級店としてのこだわりを見せる。長く引き継がれてきた伝統の調理法をベースに高級料理ならではの手間暇をかけ、ラムに苦手意識を持つ人にも好きになってもらいたい、と明氏は語る。
「やはり高級料理は時間がかかります。例えばスープは、ゆっくり煮込むことで旨みがよく出るので、4時間以上かけて作ります。お勧めの『羊肉のふわとろ極上獅子頭』もやはり4時間以上蒸しています。手間はかかるけど、ゆっくり火にかけるので旨みが出るし、肉もふわふわになります。庶民的なレストランはスピードを重視しますが、ここは高級レストランなので手間をかけています。ラムの匂いが嫌いな人は多いですが、自分の技術でみんなに好きになってもらいたい。自信はあります。実際、ラムが食べられない方にも『このラムは臭みが全然ない』と言っていただいたことがありました」




