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『新宿一丁目たぬき』も好調! 売上50億円企業のStyLeが「超属人的経営」を貫くワケ

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「入口(採用)を増やすだけでなく、良い会社づくりを進め、出口(離職)を防ぐことが大切」と石川氏

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全従業員を毎月査定、有給は全消化 or 全買取。「やりがい」と「実利」の両面から支える

「いい会社作り」をスローガンで終わらせないための仕組みとして、同社には驚くべき制度がある。一つは、社員のみならずアルバイトを含む全従業員、約1,000名を対象とした「毎月の給与査定」だ。

「経営幹部が集まり、丸一日かけて全従業員の査定会議を行います。単なる昇給の可否だけでなく、『この人はもっと給与を上げたほうが喜ぶのか、休みを増やしたほうが輝くのか』『やりがいを感じてもらうために配置転換が必要か』といったことまで、一人ひとりについて深く議論します。ここまでやっている会社は他にないでしょう」

さらに画期的なのが、「有給完全買取制度」だ。

「弊社では有給完全消化を推奨しています。とはいえ店舗運営の都合上、どうしても有給を消化しきれないスタッフが出てしまうのが飲食業の現実です。しかも、優秀で替えのきかない人ほど休めないというジレンマがある。そこで当社では、消化できなかった有給は会社が全額買い取る制度を導入しました。これにより実質的な有給消化率は100%となります。出口(離職)を減らすためには、こうした実利のある環境整備が不可欠です」

一方で、「やりがい」の提供については「チャレンジできる土壌」を用意することを徹底している。例えば、希望制で参加できる「繁盛店視察」はその一例だ。

「月に1回、都内の繁盛店を視察する機会を設けており、手を挙げたスタッフは誰でも参加できます。また、数か月に1回は地方への視察も実施しており、先日は東京のメンバーが大阪へ、鹿児島のメンバーが東京へ視察に行きました。交通費などの経費はもちろん会社持ちです。こうした『学びたい』『知見を広げたい』という意欲に対して、会社として全力で応える姿勢を見せることが、スタッフのモチベーションに直結しています」

また、多業態を展開しているからこそ、社内での「横のつながり」も生まれやすい。

「マネージャー陣は特定の業態だけでなく、様々な業態を横断してマネジメントを行うことも多いため、自然と店舗間の交流や知見の共有が生まれます。異なる業態への配置転換など、キャリアの選択肢が広いこともスタッフにとっては魅力になっているはずです」

名物の「牛もつ煮込み」(700円)など、「普通のものがちゃんとおいしい」という当たり前に向き合う『新宿一丁目たぬき』(写真提供:株式会社StyLe)

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「カンテラ採用」で学生を即戦力へ。紹介料に頼らず“ファン”を増やす採用戦略

採用手法として、リファラル採用(スタッフ紹介)を取り入れる企業は多いが、同社のアプローチには一つの特徴がある。それは、紹介に対する金銭的なインセンティブを設けていない点だ。

「以前は紹介料を出していた時期もありましたが、やめました。『お金がもらえるから紹介する』というのは、一時的な繋がりでしかありません。それよりも、『自分の会社が好きだから、友達にも働いてほしい』と心から思ってもらえるような会社を作ることの方が、長い目で見れば大切だと気づいたからです」

金銭で釣るのではなく、会社そのものの魅力を高めることで、自然発生的な紹介を促す。ここにも、石川氏の本質的な会社作りへのこだわりが垣間見える。

さらに、独自の「カンテラ採用」にも力を入れている。これは大学1年生のアルバイトを4年間かけて育成し、卒業時に正社員として採用する制度だ。

「4年間一緒に働き、信頼関係が築けている学生に対しては、大手企業の新卒採用に負けない好条件を提示して採用します。お互いの適性や能力が分かっているためミスマッチがなく、入社初日から即戦力として活躍できる。これは飲食業界の採用におけるゲームチェンジになり得ると確信しています」

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中森りほ

ライター: 中森りほ

グルメ系ウェブメディアの編集・ライターを経て2017年よりフリーライター&編集者として活躍。『食べログマガジン』『Web LEON』『Numero.jp』などで、グルメや旅記事を執筆中。