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飲食店が「レア肉」を提供し続けるリスクと食中毒対策。O157の原因と感染経路を徹底解説

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2026年1月、山口県の飲食店で腸管出血性大腸菌O157による食中毒が発生した。同店の看板メニュー「レアステーキ丼」が原因とみられ、10代の女性が重症化する事態に至っている。今回の事例を教訓に、O157の原因や感染経路、飲食店が徹底すべき食中毒対策について考えてみたい。

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山口県の飲食店で発生したO157食中毒の概要と原因

2026年1月、山口県周防大島町の飲食店で7人が食中毒症状を訴え、3人から腸管出血性大腸菌O157が検出された。そのうち10代の女性1人が溶血性尿毒症症候群(HUS)を発症し、重症化したと報告されている。

県は同店に対して営業停止処分を下し、施設内外の清掃・消毒や衛生管理の抜本的な改善を指導した。

原因とみられているのは、看板メニューの『レアステーキ丼』だ。報道などの情報を総合すると、肉の表面にはほとんど焼き色が見られず、ほぼ「生」に近い状態で提供されていたと推測される。

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O157の感染経路をどう遮断するか。飲食店における二次汚染防止の基本

生食用牛肉は食品衛生法などで厳しい加工基準が定められており、これをクリアすれば提供自体は可能だ。しかし、基準を満たしているからといって、リスクがゼロになるわけではない点は肝に銘じておきたい(参照1)

O157は牛の腸内に常在する細菌であり、解体時に肉の表面が汚染される可能性が極めて高いといわれている。わずか100個程度の菌量でも感染が成立するため、表面の軽い加熱だけでは、十分な安全を確保しきれないリスクがつきまとう。

現場でO157の感染経路を遮断するには、以下のようなルールの再徹底が不可欠となる(参照2)

1.調理器具と作業動線の分離
生肉用と加熱済み食品用のまな板・包丁・トングは明確に分けるのが基本。生肉処理後は必ず洗浄・消毒を行い、二次汚染を徹底的に防ぐ姿勢が大切だ。

2.中心部加熱の徹底
O157を死滅させるには、食品の中心部を75℃で1分間以上加熱する必要がある。見た目の焼き色だけでなく、芯温計などで確実に確認する習慣をつけたい。

3.従業員の衛生管理
調理従事者を介した二次汚染も、無視できないリスク要因だ。トイレ後の手洗い徹底はもちろん、体調不良の従業員を調理から外す勇気ある判断も経営者には求められる。

4.温度管理の徹底
冷蔵庫は10℃以下、冷凍庫はマイナス15℃以下を維持したい。加熱後の食品を速やかに冷却し、室温放置を避けるのは鉄則といえる。

多くの店では、レア肉の提供時にお客へ注意喚起を行っている。しかし、口頭の案内や卓上のメモだけでリスクを回避するには限界があるのも事実だ。

今回の事例でも、店側は「体調の悪い方や、抵抗力の低い高齢者、お子さまにはおすすめしない」旨を伝えていたというが、結果として事故を防ぐことはできなかった。

「おいしい」という喜びを提供し続けるために、今一度、自店の衛生管理体制を点検してみてはいかがだろうか。保健所の指導を待つまでもなく、現場の管理を継続的に見直す姿勢こそが、売上や信頼を守る唯一の道なのかもしれない。

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岩崎奈々

ライター: 岩崎奈々

食と旅を愛するフリーライター。広告代理店での営業を経て独立し、現在は旅行やSDGs関連のメディアにて執筆・編集を担当。国内外を巡り、現地の食文化に触れるのが楽しみ。 https://note.com/m_i_t_o/n/n5f9b3414513c