飲食店オーナーの「過重労働」が深刻。月の労働時間を削減し、「攻めの経営」へ
飲食業界では、従業員の労働環境改善が進む一方で、店舗オーナー自身の働き方が課題として残っている。飲食店ドットコムの最新調査からは、経営者の長時間労働の実態と、その背景にある構造的な問題が明らかになった。本記事では調査結果をもとに、オーナーの過重労働の実態と、その要因について整理してみたい。
■調査概要
調査対象:飲食店ドットコム会員(飲食店経営者・運営者)
回答数:286
調査期間:2025年12月25日~2026年1月5日
調査方法:インターネット調査
※詳しい調査結果はこちら
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オーナーを疲弊させる「過重労働」。原因はアナログな事務作業にあり
厚生労働省の令和7年版「過労死等防止対策白書」では、外食産業が長時間労働の課題を抱える業種の一つとして挙げられている。飲食店ドットコムの最新調査でも、経営者の月間総労働時間が「200時間以上」と回答した割合は60.8%に達した。
一方、従業員の労働時間は「200時間以上」が30.1%にとどまり、「160時間未満」が35.3%と、法定労働時間内で働くケースも一定数見られる。労働環境の改善が進む中で、シフトの穴埋めや管理業務を一手に担う店舗経営者が、長時間労働を強いられている実態が浮かび上がった。
調査では、経営者が「本来はもっと時間を減らしたい」と考える業務として、「清掃・雑務(51.7%)」が最多となり、「売上・経費の集計・分析(31.5%)」「シフト作成・勤怠管理(26.2%)」「在庫管理・発注業務(23.8%)」が続いた。清掃などの肉体労働は削減が難しい反面、数値管理や事務作業にはまだ効率化の余地がありそうだ。
しかし現状では、こうした業務の多くがアナログな方法で行われている。「シフト作成・勤怠管理」ではExcel(36.7%)や紙・ホワイトボード(26.6%)が中心で、専用ITツールの利用は14.0%にとどまる。「在庫管理・発注業務」でも紙主体が35.7%と高く、IT導入は29.0%と、まだ限定的だ。
その結果、経営者は日々のルーチン業務に追われ、業務が帰宅後や休日にまで及ぶケースも少なくない。実際、約35%の経営者が「休日・深夜にも従業員からの連絡対応が毎日~週数回発生する」と回答している。店舗を離れても業務を抱え続ける“隠れ残業”が、常態化してしまっている実態がうかがえる。
ITツールで「守りの業務」を効率化し、経営の質を高める
調査では、経営者の過半数が人手不足や長時間労働の解決策として、IT/DX活用の重要性を認識していることが分かった。一方で、51.0%が「導入コストの高さ」を最大の懸念点として挙げており、費用面がIT導入の大きな障壁となっている実態も浮かび上がっている。そして、導入後は「ランニングコストの低さ」を最重要視する声が最多となった。
では、仮に事務作業を自動化できたとして、新たに空いた時間を何に使うか。多くの経営者は、販促・集客活動やメニュー開発、顧客サービス向上といった“攻め”の業務に充てたいと考えているようだ。
原材料費や人件費の高騰が続く中、コストを抑えながら“守り”の業務時間を削減し、その分を売上や価値創出につながる“攻め”の業務へ振り向けられるかが、今後の飲食店経営の重要なポイントになりそうだ。

















