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食料品消費税ゼロ、外食は10%のまま? 飲食店団体が訴える「逆進性の矛盾」とは

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2026年2月8日に行われた衆院選で、過去最多の議席を獲得した自民党。食料品の消費税率をゼロにする公約について(参照元)、高市首相は「夏前にはまとめたい」との考えを示しているが、外食産業関連団体からは懸念の声が上がっている。中食(弁当や総菜)だけが0%になっても、店内飲食が10%のまま据え置かれれば、さらなる「外食離れ」が進む恐れがあるからだ。今回は、食料品消費税ゼロの概要と、そこに潜む「逆進性の矛盾」について考えてみたい。

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食料品の消費税ゼロ「外食も対象に」。業界団体が要望

高市早苗首相は1月19日の衆議院解散表明の記者会見において、食料品消費税ゼロを「私自身の悲願だ」と語った。2月4日に配信されたYouTube番組でも、検討を加速させる方針を打ち出している。

現在の軽減税率制度では、酒類を除く飲食料品の消費税は8%、店内飲食は10%だ。仮に食料品の税率が0%になれば、テイクアウトと店内飲食の税率差は、現在の2%から10%へと大きく拡大することになる。

読売新聞の報道によると、日本フードサービス協会の担当者は「内食との価格差が広がり、消費者が外で食事をする機会が減ってしまう。閉店に追い込まれる店も出てくるのではないか」と警戒感を示しているようだ。同協会は、外食も減税対象に含めるよう要望を続けている。

また、実際に税率が変更されれば、レジや券売機などのシステム改修が必要になり、事務負担の増加は避けられない。さらに懸念されるのが「仕入税額控除」への影響だ。材料仕入れの税率が0%になれば、売上から控除できる金額が減り、結果として店舗が納める税額が増えてしまう、という「実質増税」のシナリオも無視できないだろう。

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そもそも、なぜ外食だけが10%に据え置かれるのか? 「逆進性」について考える

外食が軽減税率の対象外とされてきた背景には、税制上の区分と政治的な配慮がある。税法上、外食は「飲食設備のある場所で、顧客に飲食をさせるサービス」と定義され、単なる食料品の販売ではなく「サービス業」として扱われるためだ。さらに、外食を減税対象に含めると、高級レストランの利用も恩恵を受けることになり、「富裕層優遇」との批判を招きかねない。こうした経緯から、外食には標準税率の10%が適用されてきた(参考)

一方で、今回の「消費税ゼロ」構想は、本来「逆進性」の緩和を目的としている。逆進性とは、所得が低い人ほど、収入に占める税負担の割合が高くなる現象のこと。低所得者ほど収入の多くを生活必需品に充てるため、食料品を非課税にすることでその不公平感を是正しようという考え方だ。

しかし、家族連れが日常的に利用する大衆店なども一律で10%のままでは、かえって「庶民の負担感」が際立つ、という見方もある。税率差が10%まで広がれば、こうした身近な店からお客が離れてしまう懸念は拭いきれないだろう。

食料品の消費税ゼロは、単なる数字の変化にとどまらず、店舗の客足や経営体質に直結する大きな問題だ。価格設定の見直しや事務負担への備えなど、考えるべき課題は多い。今後の国会の動きを注視しつつ、少しずつ「もしもの時」の対応をシミュレーションしておくのが賢明かもしれない。

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富江弘幸

ライター: 富江弘幸

ビールライター、編集者。出版社などでライター・編集者として活動し、中国留学、英字新聞社勤務などを経てビールライターに。ビアジャーナリストアカデミー講師も務める。著書に『教養としてのビール』(SBクリエイティブ)。https://localandbeer.com