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西小山のイタリアン『nerisa』の生存戦略。住宅街で高単価&外国人を呼ぶ秘訣とは

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西小山駅から徒歩3分。周辺には老舗から新店まで、地元密着型の店が多い

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ピエモンテの料理をはじめとする約40品ものア・ラ・カルト

メニューはコースもあるが、ア・ラ・カルトが主体。「品数が多い方がワクワクしながら選ぶ楽しみがある」と、開業当初から品数が徐々に増えて現在は前菜が20品、パスタ7〜8品、メイン5〜6品、ドルチェ4品に。これらを田中氏が1人で調理している。ランチ営業はせずに仕込みの時間に充てて手をかけ、営業中は温めるだけで済むものの割合を増やし、多くても切る、焼く、盛り付ける、の3工程で済ませているという。

内容は旬の食材を自分なりに調理したものやイタリア各地の料理が中心で、それ以外の2〜3割はピエモンテで学んだ郷土料理を提供。肉や野菜などの詰め物を入れたパスタの「アニョロッティ・ダル・プリン」や、卵が入った細切りパスタのタヤリンなど、修業先で学んだレシピ通りに作っている。

写真の「アニョロッティ・ダル・プリン 仔牛のスーゴ」(2,400円)をはじめ、手打ちパスタは常時3〜5種類用意

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一歩引いたサービスで、目の前の料理や会話に集中してもらう

ワインはイタリア産をラインアップしており、グラスが9種類で1,000円〜。6,000〜7,000円台を中心に約200種類あるボトルは価格や産地、生産者、テイスティングコメントを書いた木札をかけ、ガラスの引き戸のセラーに並べている。

「私とアルバイトのサービススタッフ1名で営業しているので、なるべくワインに関わるオペレーションを簡素化して他の仕事に注力したい。グラスの場合はワインの説明、抜栓からグラスに注ぐまでの作業、1杯ごとにグラスの交換・洗浄といった仕事が生じ、ボトルに比べて3倍程度の作業量になってしまうので、極力ボトルを注文していただきたいという思いがあります。そのため、ボトルはお客さまにセラーを見ながら選んでいただけるようにし、原価率はボトルの方を高くしました。これはうれしい誤算なのですが、近隣には予想以上にワインが好きな方が多く、そういった方にはリーズナブルな価格設定だと喜んでいただいています」

場所柄を意識して料理の単価は前菜が2,000円前後、メインは4,000円台とリーズナブルに設定しているが、ワインがコンスタントに出るため客単価は1万円強になっている。

ガラスの大きな引き戸による“見える”セラーは、設計士への数少ないリクエストの一つだったという

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また、サービス面で田中氏が意識しているのが、一歩引いた距離感だ。

「『リ・カーリカ』はスタッフが大勢おり、チーム力によって魅せることを意識していましたが、今の店は私1人で調理に加えてサービスも担っていて雰囲気作りや演出をする余裕がありませんし、雰囲気よりも目の前にある食事や連れの方との会話を楽しんでいただきたいと思っています」

そこで、厨房の床を少し高くし、あえてカウンターやテーブル席を見下ろす位置に設計した。お客はスタッフと目線が合いづらいので食事に集中でき、必要な時には声がかけやすいというレイアウトだ。

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難波美枝

ライター: 難波美枝

ライター・エディター。プロ向けのフランス料理専門誌の編集部におよそ10年在籍した後、フリーランスに。料理雑誌やワイン専門誌、Webなどで星つきレストランからビストロ、バルまで、幅広く取材。