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飲食店は新たなカスハラ対策を。自称インフルエンサーの「タダ飯」要求とステマ規制の法的リスク

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自称インフルエンサーから「SNSで紹介するから食事を無料にしてほしい」と要求されたり、要求を断ってSNSなどに悪評を書き込まれる被害が後を絶たないようだ。しかし、こうした要求に応じて無料で提供し、広告であることを明示しないまま投稿させれば、店側が景品表示法違反(ステマ規制)に問われるリスクもはらんでいる(参照)。今回は、「タダ飯」要求にまつわる実態と法的リスク、お客とのトラブルを未然に防ぐためのスマートな対応策について整理していきたい。

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「タダ飯」要求の実態と、店側が処罰されるステマ規制の罠

「SNSで紹介するから食事を無料にしてほしい」。こうした要求は、飲食店が直面するカスタマーハラスメント(カスハラ)の一種と言えるだろう。無料提供を断ったことで、口コミサイトに不当な低評価を書き込まれたり、SNSで根拠のない悪評を拡散されたりするケースも少なくない。

断れば何をされるか分からないという不安から、やむなく要求に応じてしまうこともあるだろう。しかし、2023年10月1日から景品表示法においてステルスマーケティングが規制対象となっている点には、改めて注意が必要だ。

この規制において特に留意すべきは、処罰の対象が商品・サービスを供給する「事業者(広告主)」に限定されている点だ。つまり、飲食店が無料提供や割引などの対価によって第三者に投稿を依頼し、その投稿に「広告」や「PR」などの明示をさせなかった場合、店側が景品表示法違反に問われる恐れがある。この際、インフルエンサー側は原則として規制の対象にはならない。罰則を受けるリスクを負うのはあくまで事業者側だという事実は、経営者として常に意識しておきたいところだ。

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カスハラを未然に防ぐ「スマートなお断り」と事後対応

こうした要求への対応で最も重要なのは、個人の裁量で判断しない仕組みづくりだろう。スタッフがその場の空気で判断しようとすると、対応にブレが生じ、さらなるトラブルを招く懸念も出てくる。

例えば、「メディア・SNSへの紹介を目的とした無料提供は一律でお断りしております」「広報担当が不在のため、現場では判断いたしかねます」など、お断りのテンプレートを準備しておくと安心だ。

また、断る際には過度な謝罪を控えるのもポイント。申し訳なさそうに対応すると「交渉の余地あり」と誤解され、要求がエスカレートする恐れもある。あくまで店のルールとして毅然と伝える対応が、トラブルを最小限に抑える鍵になりそうだ。

もし断った後に悪評を拡散された場合は、口コミサイトやSNSの運営者に、速やかに通報・削除申請を行いたい。個人的な恨みや利益供与の強要があった事実を具体的に伝えることで、削除が認められる可能性も十分にある。被害が深刻な場合は弁護士への相談も視野に入れ、あらかじめカスハラ対策の専門窓口などをリストアップしておくと心強い。

大切な店とスタッフを守るためにも、ルールを明確にして誰もが迷わず対応できる体制を整えておくことが、これからの飲食店経営には不可欠と言えるのではないだろうか。

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富江弘幸

ライター: 富江弘幸

ビールライター、編集者。出版社などでライター・編集者として活動し、中国留学、英字新聞社勤務などを経てビールライターに。ビアジャーナリストアカデミー講師も務める。著書に『教養としてのビール』(SBクリエイティブ)。https://localandbeer.com