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下北沢『焼野菜 銀河団』の“若者が定着する”チーム作り。アルバイトの熱狂を生む仕組みとは?

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下北沢『焼野菜 銀河団』の看板前にて株式会社Numbers代表の達川京平氏

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東京・下北沢の激戦区で、居酒屋『串焼きと煮野菜 下北沢の零や(ぜろや、以下零や)』と2店舗目の『焼野菜 銀河団(以下、銀河団)』を立て続けにヒットさせた株式会社Numbers。代表の達川京平氏は現在27歳。実家が居酒屋だったこともあり、高校3年生の春に独立し、すでに約10年社長を務めているという異色の経歴を持つ。

そんな達川氏の周りには、同世代の若手スタッフが多く集まっており、現在社員8名、アルバイト約30名からなる組織を束ねている。いかにして若者の自発性を引き出し、定着するチームを作っているのか。20代社長ならではの「脱・職人依存」のマネジメントや、アルバイトが熱狂する「経営塾」の秘密、独自の採用戦略について聞いた。

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納得感を生む「3本柱の評価制度」で“配属ガチャ”を防ぐ

同社がスタッフの定着率やモチベーション向上のために構築したのが、明確かつ納得感のある人事評価制度だ。最大の特徴は、給与体系を「基本給」「手当」「賞与」の3本柱に切り分けている点にある。

「基本給は、現在の能力やスピード、人間性などを総合的に評価するものです。これに加えて『自動昇給制』を導入しており、年次で必ず月給が1万円、年収にして年12万円上がる仕組みにしています」

自動昇給を取り入れることで、新人を受け入れる店長に対し「昇給に見合うようスタッフを育成しなければならない」という危機感を持たせる意図も含まれているという。

飲食店経営者の父を持つ達川氏。17歳で独立し、京都府福知山市内に居酒屋4店を展開した後、東京へ進出し2022年4月に『下北沢の零や』をオープンさせた

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2つ目の柱である「手当」は、どんな仕事をしているかに応じて支給される。例えば、店内掲示物や名刺などの内製デザイン業務に対するスポット手当だ。さらに、休日に家族と食事をするための家族手当や、ソムリエ、利き酒師といったスキルに対する手当も用意されている。

そして3つ目の「賞与」は、実績に対するダイレクトな評価となる。昨対比での売上予算達成を前提としながらも、衛生監査や覆面調査の結果といった非売上KPIも評価対象だ。加えて、Googleや食べログの口コミ件数、Instagramにおける魅力的な写真投稿といった「店舗発信力」も重要な指標に組み込んでいる。

この三位一体の評価には、飲食業界にありがちな「配属ガチャ」を徹底的に回避する強い狙いがある。売上の高い店舗や忙しい業態に配属されたスタッフだけが賞与を得て給与が上がる仕組みでは、業態や営業時間の違いによる不公平が生まれてしまうからだ。

こうした評価は半期に一度、年2回の人事面談を通じて決定される。現状では、達川氏とブランドマネージャー、そして各店長が全員と個別に面談を実施する体制だ。自己評価と他者評価のギャップを丁寧にすり合わせ、「もう一回頑張ります、と最後に握手で終われる面談」を目指している。

なお同社では、髪色やピアス、ヒゲ、ネイルなども不問で、スタッフの個性を尊重する姿勢も持つ。一方で、正社員には月給32万円〜最大100万円という夢のある給与体系や、独立支援制度を用意している。マニュアルで縛らない自由さと、手厚い評価・待遇の両輪も、若者の心をつかむ理由の一つだろう。

「アスパラ-ゴルゴンゾーラエッグと生ハムで-」(979円、右奥)と「ズッキーニ-クセになる酒盗アンチョビバターソテー-」(715円、左手前)とお通し(画像提供:Numbers)

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「求人媒体」と「内部登用&リファラル」を使い分けるハイブリッド採用戦略

採用活動においては、全体の過半数は媒体以外の内部登用や引き抜きで埋めたいという裏テーマを持つ。実際、東京での採用において、約半数を「アルバイトからの社員化」や、来店客・知人への直接の声かけを行う「リファラル」で獲得している。

「飲食業において離職率が高いこと自体は決して悪いことではないと思っています。一定の入れ替わりを前提にしながら、上位の優秀な人材が残るようにシフトコントロールなどを行い、どんどん上澄みが取れるようにしていくことが重要です」

一方で、年齢構成のバランスを整えたり、外部からの新しい風を取り入れたりするために中途採用を強化した際、有効活用したのが「求人飲食店ドットコム」だ。2025年には『下北沢の零や』で28件、『銀河団』で30件もの応募を集め、1名の採用実績も残している。

『求人飲食店ドットコム』は昨今のコスト感から見ても比較的安価で、こちらから求職者にアプローチできる機能が非常に有用でした」

高額なエージェントに依存せず、スポット出稿を中心にコストの最適化を行うNumbers。媒体を「給与や条件を公式に提示し、閲覧してもらうための場」として割り切り、一次情報や直接アプローチと併用する賢い使い分けを行っている。

昨今の飲食業は有効求人倍率が高止まりしており、人が濃厚に関わるビジネスだからこそ、応募者の能力やカルチャーフィットを媒体だけで見極めるのは難しくなっている。

「だからこそ、自社の学びや文化、成長機会といった魅力を高め、求職者から『選ばれる企業』にならなければならない」と達川氏は語気を強める。

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中森りほ

ライター: 中森りほ

グルメ系ウェブメディアの編集・ライターを経て2017年よりフリーライター&編集者として活躍。『食べログマガジン』『Web LEON』『Numero.jp』などで、グルメや旅記事を執筆中。