日比谷の大ヒット酒場『串カツ たぬき』。StyLeブランドの“いいとこどり”戦略、その全貌
お客にとってメリットのある「真の二毛作の飲食店」とは何か
これまでも多種多様な飲食店を展開してきたStyLeだが、今回のような自社運営の「人気店×人気店」といったコラボレーションの業態はどのような発想から生まれたのだろうか。
「もともとは『Fry家』の次の展開として、まったく同じ業態の2号店というよりは、“二毛作(一つの店舗で昼と夜を異なる業態で運営するスタイル)”での展開を考えていました。飲食店の経営において、二毛作でうまくいっている例は実は少ないんですよね」
店側は「空いた時間を有効活用したい」「異なった客層を集客して売上を伸ばしたい」といった理由から二毛作で営業することが多いが、「それはあくまでも店側の都合であって、よくよく考えたらお客さんにとってメリットがない」と石川氏は躊躇なくいう。
「そうではなくて“真の二毛作”というか、昼も夜もお客さんにとって本当にメリットのあるお店をつくりたかった。二毛作であっても、それぞれに大きな魅力があれば今後の展開が見えてくると思ったんです」
そして、それを突き詰めて考えた結果、「こちらの都合関係なくお客さんにとってはおいしい居酒屋で、〆にもめちゃくちゃこだわっている店」という結論に辿り着いた。
「例えば、おいしい料理と気の利いたお酒があって、でもそれだけじゃなくて、うどん専門店と同じクオリティのこだわりうどんを〆に食べられる酒場だったら、お客さんにとってもメリットがあるんじゃないかと思って。そこで今回は、昼は『Fry家』のブランドを掲げたうまいとんかつ屋さんで、夜はそのとんかつ屋さんがやる串カツを食べながら飲める居酒屋という『串カツ たぬき』のコンセプトに至りました。すごく説得力も出てお客さんにもメリットがあるし、うまくいけば真の二毛作に近付くのではと考えていました」
予想を上回る大盛況に嬉しい悲鳴。しかしランチ営業は予想外の展開に
こうしていよいよオープンした『串カツ たぬき』。だがオープン後間もなく、予想外の展開を迎えた。
オープン当初はオペレーションや新しいメニュー提供に慣れるために、夜営業のみでスタート。数週間後、スタッフが慣れてきたタイミングでランチ営業を始めはしたが、その頃にはすでに串カツが大人気となり、予想を上回る賑わいぶりに夜営業だけで手がいっぱいになってしまったのだ。
「夜に提供するメニューは品数も多いですし、かなりこだわっているので仕込みにも時間がかかります。結局ランチ営業は1か月程度で止めざるを得なくなってしまいました。こだわりを持って作った串カツが受け入れられたのは嬉しいことですが、二毛作のお店をつくろうという当初の狙いとは異なってしまったんです。それで代わりに、通しメニューで14時から営業しています」






