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ロボットの進化は料理人の仕事を奪うのか? 飲食業界の最新ロボ事情を探ってみた

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ロンドンにあるMoley Robotics社が開発した「ロボットキッチン」。画像はYouTubeのキャプチャ

日々、進化するテクノロジー。AI(人工知能)がプロ棋士に勝利し、自動車の自動運転も実現しそうな勢いだ。近い将来には、創造性を必要としない仕事は機械によって代行されるとも言われている。

飲食業界も、ファストフード店や寿司店ではすでに調理ロボットを導入。調理の一部をロボットが担当することで、業務効率化、そして人件費の削減に努めている。

今回はそんなロボットの“今”について、動画とともにご紹介していく。イギリスで開発されている「ロボットキッチン」は、手の動きも繊細なので必見だ!

人口知能がメニューを考え、アームロボットが調理する未来

チェーン展開している飲食店では、人件費削減や品質を安定させるためにロボットに調理を担当させる場合がある。日本では、回転寿司店で使用される寿司ロボットが有名だ。30年も前に登場して以来、ふんわりとしたシャリを握る技術は向上し続けている。

現在では、それ以外にも様々な調理ロボットが存在する。

■お好み焼きロボット
大阪の町工場が開発した、その名も「お好み焼きロボット」。2本のアームがお好み焼きの生地を混ぜ、鉄板に広げ、器用にコテでひっくり返して焼きあげる。もともとは箱詰めや電子機器の組み立てに使用するロボットに、お好み焼きを焼くための動作をプログラミングしたものだそう。

■やすかわくん
「やすかわくん」は、自動ソフトクリーム調理ロボット。こちらも産業用の2本アームロボットをベースに開発されている。お客は、タッチパネルで味やトッピングを選択。完成までには賑やかなテーマソングが流れ、待っている間も楽しませてくれる。イベントなどで全国を飛び回っているそうだ。

さらに、調理だけでなく、接客もこなせるロボットも登場している。

■Pepper(ペッパー)
ご存知、ソフトバングの人型ロボット「Pepper」。携帯ショップでの接客のほか、飲食店にも進出している。会話で注文を受けられるのが特徴だ。ただし、人と同じようなコミュニケーション能力にはまだ至ってないため、タッチパネルでの操作も必要になる。

また、実際の調理だけではなく、メニューを考えることができる人工知能「シェフ・ワトソン」というアプリも登場。使用したい食材を入力すると、メニューを提案してくれるというものだ。これはIBMが開発したもので、人間のように学習や思考、分析を行う「ワトソン」というスーパーコンピューターがベースになっている。

本格的なシェフロボットの開発にはまだまだ時間が掛かりそう

イギリスでは、これまでに紹介したロボット以上に精密な動きが可能な自動調理キッチン「ロボットキッチン」の開発が進んでいる。トップシェフのレシピを再現できる世界初の自動調理キッチンということで、世界から注目を集めているのだ。この「ロボットキッチン」は、非常に精巧なアームを使用しており、人間の手のような動きで調理を進める。

ただし、その調理の動作は、人間のシェフの動きをそのまま模倣したものにすぎない。シェフが調理するときの動きをあらゆる角度からモーションキャプチャで記録。それを5回繰り返して、データをプログラミングすることで、やっとロボットによる調理が可能になるのだ。実用化に向けて開発は進んでいるが、少しでも調理器具の位置が異なると料理が完成しなくなるなどの問題がまだあるよう。

料理も接客もクリエイティブな仕事。やはり人の手が一番!

確かにロボットによる調理や接客の技術は、どんどん進化している。ただ、接客に関しては、ロボットには「能力」よりも「目新しさ」や「エンターテインメント性」が望まれているように思える。正確な注文のためには、タッチパネルなどのほかのデバイスに頼らなくてならないからだ。

さらに調理に関しても、もともと単純作業用に作られたアームロボットの応用に過ぎないケースが多い。調理器具の位置が異なれば料理は完成しないし、ちょっとした調味料の調整などもプログラミングされていない限りは対応できない。

お客様の要望を聞いたり体調を慮ったりすることは、まだロボットには難しい。料理や接客は、創造性や発想力、そしてコミュニケーション能力が問われる仕事だからこそ、まだまだ人の手は欠かせないようだ。

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いずみかな

ライター: いずみかな

グルメやライフスタイル、育児などを中心に編集執筆業をおこなう。2015年からフリーランスとしての業務を開始。タウン情報誌やレストラン情報を扱うWeb媒体で取材や執筆をしており、特にケーキや洋菓子に興味がある。