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飲食店の開業に欠かせない売上予測。利益を生み出すための計画法や施策も

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経営 資金

飲食店の開業には「売上計画」や「収支計画」を含む、具体的な「開業計画」が必要だ。ここを現実的に計画できないと、融資をうける際はもちろん、開業後も金銭面で苦労するはめになる。

そこで今回は「売上計画」や「収支計画」の練り方について詳しく紹介するほか、競合店を調査する際のポイント、売上増のための施策なども解説。これから飲食店の開業を目指す方はぜひ参考にしてほしい。

飲食店の売上予測の第一歩は、まず基準値を知ること

開業前にどんな店にしたいか、メニューに何を取り入れようかと考えるのは楽しいもの。しかし「売上計画」を練るとなると、急に気が重くなる人も多いだろう。しかし売上計画が正確にできれば、より現実的な売上目標を立てることができるようになる。つまり、より経営者として必要な下記のような事柄についても見えてくる。

・原材料の仕入れが適切にできる
・原材料のロスを最小限にできる
・最適なスタッフ人員を把握できる
・売り残しをなくせる、など

ただし「売上計画」はより正確な数値を設定するのが望ましいが、簡単な目安として以下のような求め方がある。

一坪あたり月間売上高…8万〜14万円
一席あたり月間売上高…5万〜9万円

この数値をもとにすれば、目標とする売上を達成するには、どれぐらいの広さの物件を借りればいいのかがわかるだろう。

売上高を正確に求めるには業態や立地などに合わせてシミュレーションを

また、より正確な売上高を求めたいなら、下記の計算式で算出することができる。

売上高=席数×満席率×客席稼働回数×客単価

売上高を求める最も簡単な方法は、客単価と客数を掛け合わせることだ。しかし、より正確に求めたい場合は、上記のように稼働率や回転数なども正しく把握する必要がある。以下、簡単に用語の説明と具体的な考え方を紹介しておきたい。

席数……想定している席数を数値として入れる。
満席率……満席時に客がどれだけ席を埋めるのかを表した数値。例えば全20席に対して、実際には10名しか座っていなければ満席率は50%。
客席稼働回数……実際に客の来店が見込める時間を考慮して、客席稼働を考える。計算方法は、「店舗営業時間÷平均滞留時間」。滞留時間については、近隣店舗に視察に行くなど客の流れを見て現実的に考えよう。
客単価……店の業態、コンセプトによって異なる。希望するエリアにある他店舗の価格感を知ることも大切だ。まずはメニュー表を作って合計金額のシミュレーションをしてみよう。

開業計画を順調に進めるためには、投資額の見積もりが高くなったからといって売上を水増しすることなく、計算を守ることが大切だ。

通常、飲食店の満席率(客席稼働率)は70%が一般的で、回転数は業態によって異なる。カフェは1時間で2回転、高級料理店なら1日1回転、居酒屋なら1日3回転、ファストフードや牛丼店などは10回転以上ということも珍しくない。業態によって正しい回転数を把握し、売上予測を正しく導いてほしい。

また曜日や休日も考慮する必要もある。立地によって、曜日ごとの忙しさが違うのが普通だからだ。例えばカフェを一例に、立地による忙しさの違いを見てみよう。

・オフィス街…平日は忙しいが、土日はほとんど忙しくない。
・商業施設内…土日は忙しい。平日はそれほど忙しくないが、夜は忙しいこともある。
・郊外…土日は忙しい。場所によって平日のランチタイムは忙しい。

それぞれの土地柄によっても異なるため、上記はあくまでも一般論だ。後述するが、開店を計画している段階では、競合店の状況を曜日ごと、かつ昼と夜に分けて状況を確認しておきたいもの。より詳細な売上目標が立てられるはずだ。

飲食店の売上予測は3つのパターンを想定しよう

飲食店はずっと同じ売上を維持できるとは限らない。前述したように時間帯や曜日によって客層は変わるし、そうすればおのずと数字にも変化が現れる。昼と夜、平日と週末、店内利用かテイクアウトかなど……それらを別々に計算して「月間売上高」を予測するのが通常だ。さらに、これを3パターン想定しておくことをおすすめする。

1、低調時売上
最低限、これだけは売れるという計画。開業直後や計画通りにならないときを想定。

2、通常時売上
普通に経営していれば、間違いなく達成できる計画。数値は、近隣の店舗や売上基準値を参考にして出す。

3、好調時売上
努力目標としての数値。開業後の目標とするため、高めに設定する。

3つのパターンのうち、低調時売上でも資金繰りできる計画が理想だ。何度もシミュレーションが必要になるが「売上予測」の検証をしっかり行っておけば、開業後にも役立つ。そして、計画よりも少し上に設定した「売上目標」も一緒に考えておくこと。毎日の経営に張り合いをもたらすのは“計画”ではなく“目標”の場合が多い。

「収支計画」のために、開業してからのコストを把握する

「売上計画」が練れたら、次は「収支計画」を立てる。そのためには、経営を続けていくためのランニングコストを把握する必要がある。飲食店にはどのようなコストが掛かるのか、その種類を紹介するとともに、売上額に対しての目安となる割合を紹介していきたい。

<飲食店にかかる主な費用>
原料費…合計30%前後
料理・飲料の原価、テイクアウト原価
人件費…合計30%前後
社員・パートアルバイト給与手当、通勤交通費、福利厚生、求人費など
諸経費…合計12%
水道光熱費、販売促進費、消耗品費、事務用品費など
初期条件…18%以下
店舗家賃、減価償却費、支払金利など
※個人店の場合、オーナー給与も初期条件(売上が変動しても変わらない家賃などの固定費のこと)に入れる。

上記費用の合計が90%以下になるように計画しよう。つまり、目標とするのは“売上比10%以上の利益確保”だ。そのほかにも「収支計画」を立てるうえでのポイントがいくつかあるので押さえておこう。

■原価率と人件費率の合計値は、売上の60%以下が理想
ただし、よく言われている「飲食店の原価率=30%」という概念にとらわれてはいけない。業態によって原価率は変わるし、利益の出ている優良店ほど高い傾向にある。実際に原価率60%と発表している大手チェーン店もある。

■諸経費の合計は12%以下に収める
たくさんの項目がある諸経費だが、その50%を占めるのが“水道光熱費”だ。必要経費ではあるが、抑える努力は欠かせない。節水・節電の意識を持って店舗運営したいものだ。

■家賃は賃料や共益費も含め8%以下に
店舗家賃は固定費の中で最も大きい。「店舗家賃÷0.08」で計算した金額を売上として達成できるかどうかが判断ポイントだ。

さて、ここまで様々な説明をしてきたが、ここで一度、具体的な数値例を紹介しよう。例えば、開業資金が1,415万円のとあるラーメン店の場合、下記のようなモデルとなる。

■ラーメン店の概要
店舗面積:15坪15席、
営業時間:11時〜23時
従業員体制:正社員1名、パート2名

■収益モデル
月間売上高400万円(構成比100%)
原価144万円(構成比36%)
人件費108万円(構成比27%)
減価償却費16万円(構成比4%)
店舗家賃26万円(構成比6.5%)
その他58万円(構成比14.5%)
営業利益48万円(構成比12%)

原価率が36%と高めなのは、バラエティ豊かなメニューを用意しており、食材にこだわっているため。原価率が高くても充分な利益を確保できるのは、店舗のコンパクト化やオペレーションの効率化が成功しているからだ。

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最低限の目標売上高を把握する

ランニングコストを把握できたら、「収支計画」を立てていく。飲食店を経営していくためには当然、利益を出さなければならない。税引き前利益で10%以上の利益をまずは目標としたい。

そして、目標を達成するためには「損益分岐点売上高」を意識することが大切だ。「損益分岐点売上高」は、それ以下の金額なら赤字で、以上なら黒字になるという数値だ。下記の計算式で算出できる。

損益分岐点売上高=固定費額÷(1−変動比率)

例えば、「固定費(家賃など)の必要月額=100万円」、「変動比率(売上に対する食材費や人件費の割合)=売上対比72%」という飲食店があったとする。この条件を、先ほどの計算式に当てはめると、100万円÷(1−0.72)=357万1,429円が損益分岐点売上高となる。つまり赤字を出さないようにするためには、357万1,429円を売り上げなければいけないというわけだ。この計算を覚えておけば、借入金の返済に必要な売上や目標達成のための売上も算出できるようになる。

売上予測を立てるために、競合店を調査する際のポイント

売上予測を立てるには、地域の状況を把握することは不可欠だ。競合となりそうな店舗の強みを見極めることで、自店の経営にも活かせることがある。そこで競合店を調査する際のポイントを7つ紹介したい。

①立地…人気店は最寄り駅から近い、1階路面店などといった強みがある。人の流れをどのように掴んでいるかなども確認したい。
②店舗環境…ターゲットニーズに合った店舗環境を備えているかどうか。例えば、子ども連れでも大丈夫、個室がある、テラス席がある、内装や小物にこだわっている、などの強みがあるかどうか。
③商品力…味の品質はもちろん、素材が良い、SNS映えするなどの付加価値があるかどうか。
④価格…メインターゲット層にふさわしい価格になっているかどうか。
⑤販促…広告戦略をどのように行っているか。Webや店内販促の仕方なども確認したい。
⑥接客…ターゲット層に合わせた接客品質になっているかどうか。
⑦固定客化…リピーター化、固定客化するためにどのような施策を行っているか。

もちろん競合店を調査しただけでは意味がない。競合店との差別化を図り、さらに上回るために、どのように自店に取り入れるか、どうすれば違いが出せるかアイデアや工夫が必要になる。自店の特色を出すにはまずは自店のコンセプトをしっかり確認し、設定してほしい。

飲食店の売上を伸ばすには?

店舗の売上は来店客数と客単価によって決まることは前述した。売上予測や売上目標を立てる際に、売上が物足りないということもある。そこで、よりよい売上計画を立てられるように、また長く飲食店経営を続けるために、売上を伸ばす方法を考えていきたい。代表的な方法は2つ。「客数を増やす(稼働率を上げる)」ことと「客単価を上げる」ことだ。それぞれ見ていこう。

■客数を増やす施策

客数を増やすにはまず自店の情報を幅広く知ってもらうことだ。そのため広告戦略をどうするかまずは考えたい。業態や客のターゲットにもよるが、幅広くお店の情報を知ってもらうには下記の方法がある。

・周辺にチラシを配布する
・グルメ情報サイトの情報を掲載する
・テレビなどのメディアを活用する
・SNSを活用する、など

ただし、客数を増やすだけでは売上が上がるのは一時的なものになってしまう。そのため店のコンセプトを明確にするなど、「お店に行きたい」と思わせるにはどうするか考える必要がある。

・お店のコンセプトを明確にする
・他店にはないものを提供する
・他店にはない価値を提供する
・来店したくなる理由を把握する、など

競合店を調査することで、人気店の傾向もわかるため、自店にも活用していきたい。またスタンプカードによってお得感を出すなど、リピーター増を図る施策も取り入れることも重要だ。

■客単価を上げる施策

次に売上高を上げるために、客単価を上げるにはどうするか考えていこう。客単価をアップさせるためには、単純に値段を上げることだが、それでは客離れにつながることも考えられる。そこで下記のような施策を考えてもらいたい。

・産地限定食材などの使用でプレミア感を出す
・食べ比べを提案し、注文数を増やす
・ヘルシーやダイエットなど潜在的なニーズに訴求する
・旬の食材を使用し、限定感を出す
・常連客に裏メニューを提供する、など

ただし客単価を上げる施策を行う場合、原価率にも注意する必要がある。原価率が高くなると、利益率が下がり、商品が出るたびに経営を圧迫するということにもなりかねないからだ。そのためメニューを構成する際には、売上頻度や原価率を正しく把握することが欠かせない。しかしうまく自店に取り込むことができれば、売上増につながり、長期的な飲食店経営の実現に一歩近づくだろう。

さて、今回は利益を出すための「売上計画」の立て方について紹介した。「売上計画」や「収支計画」を練ることで、たとえ売上が足りないときも原因の究明をしやすく、対策も立てやすい。何度もシミュレーションをした上で、開業に備えたいものだ。また「客数を増やす」「客単価を上げる」ことで、売上増を目指す施策についても紹介。自店に取り入れることで競合店に負けない店作りを目指してほしい。

■参考
翔泳社『自分でパパッとできる はじめての飲食店開業&経営』

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いずみかな

About いずみかな

グルメやライフスタイル、育児などを中心に編集執筆業をおこなう。2015年からフリーランスとしての業務を開始。タウン情報誌やレストラン情報を扱うWeb媒体で取材や執筆をしており、特にケーキや洋菓子に興味がある。