飲食店のインバウンド対策、2017年版。訪日外国人の集客は「体験型」が鍵に?

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2016年もたくさんの外国人が日本に訪れた。最新の発表によると、昨年1年間の訪日外国人の数は過去最高の2,403万9000人。前年比22%増と非常に大きく伸びた。また訪日外国人の飲食費は7574億円にのぼり、2015年の6420億円から17%増加。“爆買い失速”のニュースが報じられる中にあって、外食分野は順調な伸びを記録している。
国別に訪日外国人をみると、トップの中国は前年比27%増。昨年は637万人もの中国人が日本を訪れた。2位は韓国、3位台湾、4位香港と続き、全体の7割をこの4カ国で占めている。アメリカからの旅行者はというと、香港に次ぐ第5位。前年比20%増とこちらも着実に増加している。一方、タイ、シンガポール、マレーシアなど、東南アジアの国々からの旅行者もまだまだ数は少ないとはいえ大幅に増加しているようだ。
訪日目的のキーワードに変化が
中国人の“爆買い”ブームが去ったことはニュース等でよく見聞きするが、消費の変化は数字にもはっきりと表れ始めた。昨年、外国人一人当たりの日本での支出は15万5896円で、前年と比べて11%減少。なかでも中国人旅行者の支出減少が顕著で、前年と比べて20%近くも減少している。
これは訪日外国人の来日の目的が、「モノ重視」から「体験重視」へと変化しつつあることが理由として挙げられる。モノを買うことより、「食」や「日本文化」に触れることにお金を掛けるようになってきているのだ。インバウンド需要を取り込もうとする飲食店は、こうした傾向を捉え集客策に生かしていくべきだろう。

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飲食店にとって「ビジネスチャンス」は?
先ほども述べたように訪日外国人は「体験重視」の傾向にある。日本食を食べること自体が「体験」である一方で、数ある飲食店の中から“選ばれる店”になるためには「もう一歩先の体験」を提供する必要がある。
たとえば居酒屋で日本酒を“売り”に集客するなら「利き酒セット」を用意する、寿司など日本独自の料理を提供している場合は「手巻き寿司」など客のひと手間が必要なメニューを用意する……といった具合に、料理を食べてもらうだけでなく「日本ならではの体験」を提供するように心掛ける。中国人旅行者などは「初体験」の感動をSNSに投稿する確率が非常に高いようで、こうした工夫をうまくアピールできればSNSでの口コミ効果も期待できそうだ。
今後もますます訪日外国人は増えていく。十分な対策を練って、集客を図っていきたいものだ。
