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「うどんが主食氏」問題、食べログが取材に文書で回答。うどん氏へのガイドライン遵守要請を明かす

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「その後、『うどんが主食』氏ご本人に、誤解を招きかねない投稿ではなかったか等の観点から、ガイドラインに照らして全口コミを再確認いただきました。合わせて、ガイドライン上の問題があるか否かにかかわらず、ご本人として改めて表現や投稿方法を見直したいと考える口コミがないかについてもご確認をいただきました。その結果を受け、ご本人にお選びいただいた口コミについて6月15日(木)に再公開を実施しました」

ここでいう「ガイドライン」とは食べログで公開されている「口コミガイドライン」である。その中には「12.対価を目的とした口コミの投稿を禁止します」「13.通常利用でない場合は『通常利用外口コミ』にチェックを入れてご投稿ください」などが定められている。週刊文春で報じられた内容が事実であるとすれば、上記の12、13に抵触するものとみられる。

再公開されたレビューは1304件(6月21日現在)で、週刊文春で報じられた店舗を含め500前後のレビューが再公開の対象から外れている。これはうどんが主食氏が、ガイドライン上の問題も含め、自身の表現や投稿方法を見直し、公開すべきかを判断した結果だという。こうして再公開されたレビューについては本人だけでなく食べログサイドでも確認をしており、同時にガイドラインの徹底遵守を要請したことが明らかにされた。

「再公開された口コミについては、通常の投稿と同様、弊社でもガイドラインに則った確認を行って参ります。またこの度の再確認依頼と合わせて、『うどんが主食』氏には口コミガイドラインの遵守徹底を改めてお願いいたしました」

Photo by iStock.com/InnerVisionPRO

うどんが主食氏「友人の店はレビューしない」

食べログでは投稿された口コミは原則として投稿から24時間以内に全件目視とシステムによるチェックを行い、問題がある場合には修正依頼や削除、悪質な場合には会員資格の制限を行うことがあるという。チェックを経た後でそのような状況が証拠とともに明らかになれば同様な対応がとられる。

もっとも本件の場合、ソースが報道であることや、食べログ自体が調査権原を有しないことから、なかなか踏み込んだ対応が取れない現実が垣間見える。うどんが主食氏との接点については「他のレビュアーの皆様と同様に、サイトサービス向上のためのヒアリングを行う等の接点はございます」(回答文書より)とのことである。そもそも飲食店利用者の主観に基づく表現で成り立っているサイトという性質上、運営側の過度な干渉は予定されていない。また、調査に対する回答義務を課すことや、強制力を伴った調査を行う法的根拠もない。そのため「仮に報じられた内容が真実であった場合、食べログ口コミガイドラインに抵触するとお考えでしょうか」という質問に対しては、慎重な姿勢となるのは当然である。

「今回報道のあった週刊文春様の記事は拝見しておりますが、レビュアー個人と飲食店の関係という当該記事の前提となる事実について、弊社では確認できておりませんので、仮定のご質問に対する回答は控えさせていただきます」

なお、この点について、記事が非公開とされた時にうどんが主食氏のプロフィール詳細には以下のように記された。

「私はこれまで飲食店を評価する時、いくら親しい友人の店であっても正直に評価をしてきました。今回、週刊文春の記事において書かれたことで多くの読者の方々に誤解を与えてしまい、また友人のお店に多大なる迷惑をかけてしまいました。今後、たとえ美味しくても友人のお店は誤解を招く恐れがあるので一切レビューしないことにします」

同氏は「友人の店でも評価は正直に行なった」としている。ただし、ガイドライン違反については言及がなく、週刊文春の記事についても、それによって読者に誤解を与え、友人の店に迷惑をかけたとするのみである。報道の内容について肯定も否定もしていない。

食べログへの社会的要請と信頼性高めるための取り組み

飲食店にとって、食べログのような大手のサイトの持つ力は非常に大きい。そのため、たとえ民間の一サイトであっても、そのシステムや内容の公正さの維持は社会的要請といっても過言ではない。仮にうどんが主食氏が報じられたような内容の行為を行なっていたとしたら、そのレビューを非表示とするのはやむを得ない措置であると思われる。今回の件でカカクコムが週刊誌の発売翌日に素早くレビューを非表示にして、本人に確認、選択させた上で自らもチェックして一部を再公開に踏み切ったのは、運営サイトの措置としては適切なものと言えよう。食べログではうどんが主食氏によるガイドライン違反があったことを前提とする仮定の質問には答えられないとしつつも、今後については以下のように考えているとした。

「食べログでは、ユーザーの皆様に参考にしていただける口コミを掲載し、ユーザーの皆様はもちろんのこと飲食店の皆様からも信頼されるサービスとなるべく、信頼性を一層高めるための取り組みについて、今後も様々なご意見を取り入れながら継続して検討を行っていく所存です」

今回のうどんが主食氏の一連の報道については、その真偽は当事者しか知り得ない。ただし、口コミサイトの持つ影響力が大きくなる中、今後の同種のサイトのあり方について考える機会を与える一つのきっかけになったのは間違いないだろう。

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松田 隆

ライター: 松田 隆

青山学院大学大学院法務研究科卒業。ジャーナリスト。スポーツ新聞社に29年余在籍後にフリーランスに。「GPS捜査に関する最高裁大法廷判決の影響」、「台東区のハラール認証取得支援と政教分離問題」等(弁護士ドットコム)のほか、月刊『Voice』(PHP研究所)など雑誌媒体でも執筆。ニュース&オピニオンサイト「令和電子瓦版」を主宰:https://reiwa-kawaraban.com/