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飲食店で失敗しないコツ。初めての開業は「低投資」「低コスト」、そして「短期回収」が大切

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Photo by iStock.com/Koji_Ishii

飲食店を出店する場合、投資額とランニングコストを抑え、初期投資をなるべく早く回収することが大切だ。では、具体的にはどのようなポイントを押さえればいいのか? 今回は新規開業者に向けて、初期投資やランニングコストを抑えるためのポイントについてご紹介していく。

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「低投資」「低コスト」「短期回収」が大切なワケ

初期投資を抑えて(低投資)、運営に必要なコストを抑え(低コスト)、そして短期回収につなげる……。なぜこれらが大切なのだろうか。それは短期回収により資金のプラスを確保することで、事業継続の可能性が高まること、さらには次の展開がしやすいからである。

飲食店の開業にあたって、その資金は多くの場合、日本政策金融公庫や銀行に借入をすることになる。そして借入額が多く、月の返済額が多くなるほど、返済が滞る危険性が高くなる。どんなに人気の店舗であっても、金融機関への返済が滞ると事業の継続ができなくなってしまう。そのため売上をあげることだけでなく、初期投資やコストを抑えて返済に充てる資金を確保することが大切なのだ。

短期回収のめどが立てば、次の展開もしやすい。たとえば店舗の改装や次の店舗の出店などを検討することが可能となり、余剰資金での展開はもちろん、新たな借入もしやすくなるというわけだ。

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短期回収を実現するために押さえるべき3つのポイント

■低投資のポイント
まず、低投資のポイントについて説明する。物件を探す際には、積極的に居抜き物件の情報を集めよう。居抜き物件とは、前のテナントが造作した店舗の内装、厨房設備などがそのままの状態で残っている物件のことである。残っている内装や厨房設備を有効活用することで、初期投資を大幅に抑えることができる。

ただし、居抜き物件は近年人気が高まっており、なかなか条件に合う物件に出合えないことも多い。そこで居抜き物件をあきらめてスケルトンの物件を借りるのであれば、中古の厨房機器を活用することを考えてみよう。これで投資額を抑えることにつながる。中古の厨房機器は不安という人もいるだろうが、今は専門で扱う業者もあり、メンテナンスもしっかりしているので相談してみるといいだろう。

また、銀行の借入を抑えて自己資金の割合を多くすることで、返済額や利息の負担が軽くなる。居抜き物件も中古の厨房機器も希望に合うものにはなかなか巡り合えないかもしれないが、こまめに情報を収集することが大切だ。

■低コストのポイント
毎月のランニングコストを抑えるには、賃料と飲食業で重要視されるFLコストの管理がポイントとなる。まず賃料は、空中階より1階の路面店のほうが高くなるが、それに見合った売上を獲得できなければ賃料負担が重くなってしまう。目安としては、賃料の10倍の売上を稼ぐことが理想的といわれているので、これを参考に物件を探すといいだろう。

FLコストとは食材原価と人件費の合計である。業態にもよるが、売上の60%以内に収めることで黒字化が見えてくる。食材原価に関しては、メニュー開発の際、適切な原価と売値が設定されているか、実際の調理の段階で基準通りの食材使用量になっているか、食材ロスを可能な限り抑えているか、などがポイントとなる。

人件費の場合、売上予測に対して適切な人員配置になっているか、少人数で可能となる効率的なオペレーションを構築できているか、アルバイトスタッフに対して暇な時間帯の業務指示ができているか、などが確認ポイントとなる。スタッフ採用の段階から、どの業務をどれくらいの人員で担当するのが効率的かをしっかり検証しておくといいだろう。

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■資金繰りについて
黒字倒産という言葉を聞いたことがあると思うが、これは文字通り黒字なのに資金がなくなって金融機関への返済ができなくなり倒産することである。飲食店の場合、原則は顧客からその日に現金をもらい、業者への支払いは後になるので、黒字倒産は起きにくい。しかし、最近では電子マネーやクレジットカードでの支払いが多く、これらは入金が後になるとともに手数料も取られるので、注意が必要だろう。

また、食材や資材の過剰在庫にも注意が必要だ。原価は売上に応じた分しか計上しないが、過剰在庫、つまり必要以上に発注してしまうと手持ち現金は少なくなり、ロスが発生する可能性も高くなる。もちろん在庫が足りなくなるのは避けなければならないが、過剰在庫にならないように注意しよう。

売上を増やすことも大事であるが、低投資でスタートして、低コストで利益を出し、資金繰りにも注意することで短期回収が可能となる。業態にもよるが、飲食店の回収期間は5年程度といわれている。もちろん短期間で回収できるに越したことはない。今回の記事を参考に、短期回収が可能な店舗作りに取り組んでほしい。

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若林和哉

ライター: 若林和哉

株式会社パートナー経営企画・代表取締役。飲食店の勤務経験や中小企業診断士の資格を生かして、事業計画作成や資金調達の支援、フランチャイズ関連のWebページの執筆やセミナー講師などを務める。好きなお店は、ラーメン・カフェ・日本酒のおいしい居酒屋など。https://パートナー経営企画.com/