酒税法改正でアルコールの仕入れ価格が値上がり! 逆風の中、「原価率を下げるための工夫」とは

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『鳥貴族』や『いきなり!ステーキ』『すかいらーく』など、大手外食チェーンの値上げが相次いでいる。人手不足による人件費の高騰や酒税法改正に伴いアルコール類の価格が上昇したことなどが、その要因として考えられる。もちろん、この影響は大手チェーンに限ったことではない。
そこで今回は、飲食店の「食材原価率」についてアンケートを実施。アルコール類や食材の値上げも目立つ昨今だが、実際の原価率はどのぐらいなのか。原価率を下げるための工夫とともに結果を紹介する。
■調査概要
調査対象:飲食店.COM会員(飲食店経営者・運営者)
回答数:169名
調査期間: 2017年10月27日~2017年10月30日
調査方法:インターネット調査
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■回答者について
本調査にご協力いただいた回答者のうち66.2%が1店舗のみを運営しております。また、回答者のうち東京にある飲食店の割合は57.9%(首都圏の飲食店の割合は76.3%)となっており、こうした背景が結果に影響していると推測されます。
7割以上の飲食店が、原価率30%以上と回答
まず客単価について聞いたところ、「~2,999円(39.1%)」「3,000円~4,999円(30.2%)」「5,000円~9,999円(22.5%)」「10,000円~(8.3%)」という内訳だった。

約7割の店舗が客単価5,000円未満
次に、売上に対する「食材原価率」について聞いたところ、「30~34%」の範囲で回答した飲食店が最も多く40.8%、次いで「35~39%(26.6%)」「25~29%(17.8%)」「40%~(10.7%)」「~24%(4.1%)」という結果に。今回のアンケートでは、7割以上の飲食店が原価率は30%以上であると回答した。また回答から原価率の平均値を算出したところ、32.1%に。原価率は業態や提供メニューにより異なるが、「30%」が一つの目安であるといえそうだ。
続いて業態別の原価率を見てみよう。アンケート回答者の中でも最も多い居酒屋・ダイニングバーの原価率は31.5%に対し、アルコール中心に扱うバーは26.6%と5%程度の開きがある。また、客単価が5000円を超える店の原価率は32.1%、2999円以下の店は32.9%という結果に。客単価の違いによる原価率の違いはあまり見られないようだ。

全店舗の原価率の平均は32.1%
原価率を下げるための工夫
次に、原価率を下げるための工夫について自由記述式で聞いてみた。すると大きく3つの工夫を行っていることが分かった。順番に見ていこう。
■仕入れコストを減らす工夫
「仕入れ先を何軒か抱えながら、価格の動向に注視。できるだけ安いところで仕入れるようにしている」(東京都/中華/原価率35%)
「複数業者の仕入れ値を常時比較」(大阪府/居酒屋・ダイニングバー/原価率35%)
「普段仕入れている業者に交渉したり、新しい取引先を探したりしている」(愛知県/鉄板焼き・お好み焼き/原価率33%)
やはり原価に直結する仕入れコストを抑える飲食店は多い。気候に左右され高騰することが珍しくない青果類は、農家と年間契約して仕入れるなど、価格の変動に影響されないよう工夫する店もあった。
■販売戦略を立ててメニューを工夫する
「高利益商品を販売し、全体的な原価率をコントロールする」(東京都/和食/原価率30%)
「原価の高い目玉商品と原価を抑えるメニューをバランスよく織り交ぜて、原価低減に繋げている」(大阪府/和食/原価率34%)
「アルコールの種類を豊富にして、ドリンクのオーダー比率を上げる」(大阪府/専門料理/原価率35%)
「飲料を多く出すことを意識している」(東京都/イタリア料理/原価率30%)
すべての原価率を30%で抑えることは難しい。しかし原価率の高い看板メニューで来客を増やしながら、原価率が低いメニューやドリンク類のオーダーを取ることで、バランスをとる店が多くあった。
■ロスを減らす工夫
「在庫管理を綿密に行い、仕入れを細かく行う」(東京都/和食/原価率30%)
「完全予約制かつ商品を絞って、ロスが出ないようにしている」(東京都/テイクアウト/原価率25%)
「ロスをなくす。販売数のデータ分析をしっかりして、売れ筋、死に筋を明確にする」(東京都/カフェ/原価率27%)
せっかく仕入れたのに使い切れずに廃棄してしまうのは、赤字だけを生み出してしまうため避けたいもの。そのためにしっかり行いたいのが在庫管理。仕入れ量を管理することはもちろん、仕入れた日をラベリングしたり、早く使い切りたいものを冷蔵庫の手前に置くなどして廃棄しない工夫をしよう。
