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はんつ遠藤さんが2018年の「トレンドメニュー」を予想。注目は「ネオスタンダード食材」

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フードジャーナリストのはんつ遠藤さん

毎年変わりゆく食のトレンド。飲食店として押さえておきたい重要なポイントだ。今年はInstagramの流行によって、フォトジェニックなスポット・メニューに熱い視線が注がれる傾向があった。間もなく2018年に突入する季節となったが、来年はどんなメニューがトレンドを飾るのだろうか。TV、ラジオ、雑誌などでおなじみ、気鋭のフードジャーナリスト・はんつ遠藤さんに、2018年に注目の「トレンドメニュー」を予想してもらった。

食材を見つめ直す。キーワードは「ネオスタンダード食材」

最近の日本のグルメシーンは、欧米のブームを取り入れるという思考から、食材を見つめ直す方向性へとシフトしているという。まず初めにあげられたキーワードは「ネオスタンダード食材」だ。

「その理由は、2年後に控えた東京オリンピック。インバウンド需要が高まる中、日本の食をどのように海外の人に伝えるかという考え方が根底にあるわけですね。そこで料理人たちが最近こぞって取り入れ始めたのが、通常の食材でありながらも今まで注目されてこなかった食材、もしくはその先にあるより精度の高い食材です。それらを用いたメニューがブームになるといわれています」

では「ネオスタンダード食材」を使った2018年のトレンドメニューとは何か。詳しく教えてもらった。

Photo by iStock.com/Daisy-Daisy

■ネオ江戸前フード
「東京湾では従来からさまざまな海産物がとれました。海苔、アサリ、穴子など。こうした従来の食材に加え、今、東京湾では新たな食材が注目されているんです」

その食材の一つがホンビノス貝。カナダやアメリカなど、北米大陸の東側沿岸でよく採れる貝だ。それが北米と東京湾を行き来する大型船に付着し、東京湾に生息するようになった。

「アサリやハマグリよりもずっと生命力が強いので、今、爆発的に増加しています。また価格的にもハマグリの1/3程度に抑えられ、低価格なため、パスタやワイン蒸しなどさまざまな料理に使用されつつあります。もともとクラムチャウダーの原料なので、味も問題ありません」

さらに、東京湾では一般的に市中に出回らない魚も多いが、2018年はここに新たな動きが加わったという。

「例えばコノシロ、ギマ、赤エイといった魚たち。これらは通常捨てられていましたが、これを煮干しにして出汁を取るのに使う動きが始まっています」

■プレミアムスパイス料理
スパイスと聞くとインド料理やエスニック料理などを想像するかもしれない。だが、日本でも古来から多くのスパイスが料理に使用されてきた。例えば「にしんの山椒漬け」。山椒は葉も実も香り豊かで、従来から重宝されている。また白コショウもよく使用される。黒コショウよりも優しく浸透していく風味があり、隠し味としても最適。唐辛子も、しかりだ。

「日本で収穫される、より上質なスパイスが脚光を浴びつつあります。代表的なのは、ぶどう山椒。山椒は和歌山県が日本の収穫量の約7割を占めますが、なかでも有田川町が日本一。その奥地の山間部で採れるのが、ぶどう山椒です。従来から収穫されていたのですが、昨今、注目度がアップ。果皮が厚く、大粒の実がぶどうの房のように見える、まさに最高級山椒です。また、唐辛子もより上質なものが求められる傾向にあります。単に辛いだけではなく、無農薬などの安全性、辛味、香り、旨味、挽き方の5つのバランスを重視。それらを用いた料理が話題になりそうです。特にスパイスは薬膳にもつながるものですから、健康面でも見逃せません」

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逆井マリ

ライター: 逆井マリ

フリーライター。音楽、アニメ、ゲーム、グルメ、カルチャー媒体などに取材記事を執筆。現在の仕事に就く前に、創作居酒屋、イタリアン料理店での業務経験あり。写真は大好きなアイスランドで撮影したもの。