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10年後も生き残るための飲食店開業術。成功と失敗を分ける差はどこにある?

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Photo by iStock.com/holgs

毎日、多くの飲食店が新しくオープンしているが、10年後も生き残る店はたったの1割だといわれている。つまり、多くの店が採算が合わずに閉店しているというわけだ。

飲食店の経営は、綿密な売上計画、そして徹底したコスト管理が求められる。これを怠ると損益分岐点を上回り続けることは難しく、いずれ経営は傾いてしまう。また、こうした計画を達成していくためには、当然、味やサービスといった面で努力を重ね、店の魅力を磨いていく必要がある。当たり前のことのように思えるが、これがなかなか難しい。難しいからこそ、10年で1割しか生き残れない厳しい業界になってしまっているのだ。

では逆に10年後も生き残っている1割の店は、一体どんな努力をしているのか。失敗しないためにはどのような取り組みをすればいいのかを考察してみよう。

いい立地を早く抑える

飲食店経営は「立地が大切」と言われている。つまり、店の場所や視認性などが利益に直結するという意味だ。味やサービスの向上にどれだけ注力しても、お客様が来なければ商売は始まらない。人がたくさん集まる場所でビジネスをすることが成功への近道なのである。

そのために最も重要なことは、「いい物件を早く抑える」ことだ。好条件の物件は、不動産店の店頭に公開されるよりも前に、紹介によって借り手が決まってしまうことも多い。物件オーナーや不動産業者と信頼関係を築くなど、「表に出る前の情報」を得るための人脈作りが必要になる。

また、物件情報サイトであれば、有料会員になるというのもひとつの手段だ。そうすれば、一般会員よりも先に物件情報を得ることができる。いい物件は待っていても見つからない。情報の源流に近づくための努力を惜しまないようにしよう。

Photo by iStock.com/PeopleImages

オープン前に集客準備をする

よほどの好立地でない限り、オープンしてすぐに客数目標を達成することは難しい。運転資金が潤沢にあればいいが、赤字が続けば通常は半年から1年で閉店に追い込まれる。つまり、オープンして半年が客数目標達成のリミットというわけだ。

そうなると、やはり開業前からの集客準備が必須となる。例えば、知人を集めて試食イベントを開催したり、SNSを活用して新しい顧客リストづくりをするなどが効果的だ。顧客リストがあれば、オープン時のレセプションに招待客を集めることができる。グランドオープンより前に、店の賑わいをつくることは大きな宣伝効果になるのだ。

開業前の工事の期間もうまく活用したい。ぜひ看板は早めに作成して1日中店頭に設置しておこう。そうすれば周囲にも早く認知される。また、看板にクーポン付きのメニューやチラシを備え付けておけば、オープンを楽しみに待ってくれる客も増えるはず。オープン前に集客準備ができているかが成功と失敗の分かれ道となる。

業種(提供する料理)を間違えない

飲食店には様々な業種がある。ここで言う「業種」とは、「何を売るか?」「商品として何を取り扱っているか?」という意味だ。アジア料理、焼肉、居酒屋、洋食、イタリアン、ラーメン、寿司、カフェなどが人気の業種と言われている。

デパートやショッピングセンターのレストランフロアを想像してみて欲しい。先にあげたような業種で埋めつくされているのではないだろうか。じつは、どんな場所においても人気業種、言い換えれば定番料理が売れている。奇をてらわずに人気の業種で勝負することが失敗しない飲食店経営の秘訣だといえるだろう。

ちなみに、この数十年間において、人気業種にはそれほど大きな入れ替わりはない。イタリアン、アジア料理、カフェなどはここ20~30年で浸透してきたが、非常にゆっくりとした流れで定着をしていく。経営を軌道に乗せやすくするためには、成長過程にある業種で勝負するといいだろう。

Photo by iStock.com/daruma46

新しい業態を開発する

「何を売るか?」という意味の業種に対して、業態は「どう売るか?」という意味だ。例えば「寿司店」という業種にも様々な業態がある。回転寿司店、高級寿司店、デリバリー専門の寿司店など。売るものはどれも寿司だが、売り方は全く異なる。ターゲットや利用動機の違いにより、それぞれの顧客をつかんでいる。

回転寿司やデリバリー寿司も元々は存在しなかったものだが、現在はなくてはならないものになった。例えば、近年はカフェの各座席に電源コンセントや無料Wi-Fiを設置されていることも珍しくなくなったが、これも業態の変化のひとつとしてみることもできる。スマホでYouTube動画を見たり、職場の外にノートPCを持ち出して仕事をするようになった今の時代を反映しているといえるだろう。

新しい業態は顧客ニーズから生まれることもあるが、店側からの新しい提案であることも多い。最近では、クレジットカードやICカード決済のみで現金を取り扱わないキャッシュレスレストラン、毎月定額で食事ができる月額制のラーメン店などが代表的な例だ。いずれも今後定着するかは未知数だが、このような努力や工夫が口コミや話題性に繋がっているともいえるだろう。新店舗を立ち上げるのであれば、「新業態」で飲食業界を変えるくらいの気持ちが大切だ。

新規をリピート化させる

飲食店は新規客の獲得が非常に難しい。実際に自分が年間でどれくらいの新規利用をしているか数えてみるとその難しさがわかるだろう。一般的には月に2〜3店舗、年間では30店舗前後だといわれている。しかも、自宅や職場の近くなど、生活圏に近くて便利な店を選ぶ人がほとんどである。そう考えると、先述のように好立地を押さえるか、「わざわざ選ばれる店」になる必要があるということだ。

また、仮に新規客を獲得したとしても、リピート客が増えなければ客数はずっと横ばいのまま。新規客が2度来店する確率はおよそ3割で、2度来店した客が3度来店する確率はおよそ7割と言われている。つまり、初回来店から2度目の来店の確率をいかに上げていくかが成功するための重要なポイントとなるわけだ。

そう考えると、新規客を一番大切にすべきという考え方に行き着く。リピート客が大事ではないという意味ではない。できるだけ多くの新規客が常連になるような意識が必要だということだ。そうすれば、新規客も常連客も居心地の良い店になるだろう。

Photo by iStock.com/powerofforever

選ばれるポイントを見直す

お客様はその店に行きたいかどうかをかなり最初の段階で決めている。例えば、店のホームページやインスタグラム、レビューサイトでの口コミなど。店に行く前に得られる情報で判断していることが多いのだ。この時点でほとんどの店が「行かない店」になってしまっている。

そして、お店に着いてからも、店頭の雰囲気、店員の出迎え、案内される席、メニューブックなど、料理を食べる前の段階で「また来たい」か「もう来ない」かを無意識に判断している。よくても悪くても最初の印象が後から変わることはあまりない。

今一度、自分の店を知ってもらうきっかけや、はじめて来店されたお客様の目線で様々な部分を見直して欲しい。どのような部分で判断されているのか全て書き出し、ひとつひとつ検証してみよう。1度目の来店で満足しなければ、2度目はない。そのためには、早い段階でお客様に好印象を与え、感動や満足をしてもらうための工夫が必要だということだ。

以上、飲食店経営の成功と失敗を分ける要素を6つに分けて解説した。当たり前のことではあるが、意外とできていないことだったのではないだろうか。店が生き残るためには、大成功しそうな変わった方法で一発勝負を試みるよりも、失敗しないための基本的な事柄を確実に実行し続けることだ。見切り発車や安易な決断は絶対にしてはならない。1割の店は偶然に生き残っているのではなく、入念な準備や研究の成果なのである。

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大槻洋次郎

About 大槻洋次郎

父親が喫茶店を営む家庭に生まれ、31才の時にカフェで独立開業。個人経営のこだわりカフェの先駆者的存在となった。現在は大手カフェスクールや展示会での講師活動、飲食店の開業支援などを行なっている。現場目線の初心者でもわかりやすいノウハウに定評がある。メディア出演も多数。得意料理はパスタ。