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飲食店でプラスチックストロー廃止の動き広がる。なぜストローはダメ? その理由

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Photo by iStock.com/UygarGeographic

『スターバックス』、『マクドナルド』、『ガスト』などの大手飲食店を中心に、プラスチック製ストローを廃止する動きが広がっている。環境問題に配慮した動きとして世界的にも注目されているが、そもそもなぜプラスチック製ストローを廃止する必要があるのだろうか。その理由について、そして各社の動向を調べてみた。

アメリカ、ヨーロッパを中心に広まる「ストロー廃止」

ここ数年、業界を問わずにプラスチック製品の使用を制限する動きが広まっている。飲食店ではテイクアウト用の容器などに使われたりしているが、なかでも大量消費されているのがプラスチック製のストローだ。このストローを廃棄しようとする取り組みが世界各地で加速している。

たとえば、世界的に店舗展開している大手コーヒーチェーン『スターバックス』では、2020年までに世界の全店でプラスチック製ストローの廃止を発表。ふたを工夫し、ストローなしでも飲めるように容器を改良するという。

さらに、アメリカの『マクドナルド』もプラスチック製ストローの廃止を決定。9月より紙製のもので代用することを発表した。日本国内のマクドナルドはまだ決定していないものの、現在検討中としている。

日本国内では、『ガスト』や『ジョナサン』などのファミリーレストランを手掛ける「すかいらーくホールディングス」が、2020年までに国内、海外の全店舗でプラスチック製ストローを廃止することを目標にすると発表した。その足掛けとして、年内に『ガスト』全店でドリンクバーのストロー設置をストップする見通しだ。

Photo by iStock.com/Placebo365

原因は海洋汚染。マイクロプラスチックが与える悪影響

ここまでプラスチック製ストローを廃止する動きが広がっているのはなぜか、疑問に思う方も多いだろう。じつはこの動きの原因には、プラスチックのごみによる海洋汚染がある。

プラスチックはストローに限らず、レジ袋や容器などさまざまな製品に利用されている。これらはリサイクルしているものもあるが、ストローのような小さなものはリサイクルしづらく、使い捨てのごみとなってしまう。そしてごみとなったプラスチックは、年間800万トンほど海に流出しているといわれている。

海に流出したプラスチックは塩分や紫外線などで細かく分解される。最終的に0.5ミリ以下、重さ0.1ミリグラム以下の小さな欠片(マイクロプラスチック)となり、海に残り続けてしまう。あまりに小さいので回収するのが難しい上に、魚たちがエサと間違えて食べてしまうことも多い。海を汚してしまうだけでなく、魚にも悪影響を及ぼしているのだ。

また、年間800万トンという流出量を鑑みると、2050年には海に流れるプラスチックの量が魚の総重量を上回ってしまうという予測も出ており、環境問題・生態系への被害は甚大。早急な対策が求められている。そこで飲食店のできることの一つとして、プラスチック製ストローの廃止が呼びかけられているというわけだ。

プラスチック製ストローは多くの飲食店が大量消費しているが、紙製のものに代替したり、使わないように工夫もできる。海洋汚染対策の第一歩として、大きな動きといえるのではないだろうか。

Photo by iStock.com/Pekic

飲食店が今、環境問題対策としてできること

環境問題と聞くと大きな問題に思えるかもしれないが、じつはそれぞれの店舗が少し行動するだけでできることもある。 たとえば個人店でも紙製のストローで代替することは可能だし、テイクアウトに使っているプラスチックの容器も、紙製に変更することが可能だ。できることから少しずつ始めていくことこそが、重要だといえるだろう。

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竹野愛理

ライター: 竹野愛理

食と文学を愛するライター。飲食店取材、食に関するコラム、書評を執筆のほか、食関連のメディアや書籍にて編集者としても従事。趣味は読書と散歩。本を片手に旅行したり食べ歩きをしたりすることが好き。