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復活『なんでんかんでん』に連日の行列。川原ひろし社長「失敗して良かった」

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スープがなくなると、その日の営業は終了

川原社長自ら接客、BGMは昭和40年代のこだわり

復活店舗の特徴はまだある。川原社長が接客についてセミナーを行っていたということもあり、その点の重要性は従業員にも徹底している。流れ作業のように料理を出すのではなく、一人一人に話しかけて、心を通じ合わせることを意識。外で行列をつくっている人にも川原社長が時間を見て声をかけ、会話をする。タレント活動をしている社長から声をかけられることは、客にとっても悪い気はしないだろう。

店内の音楽はオールディーズ、それも社長の好みに合わせて昭和40年代(1965年-1974年)が中心。取材に訪れた時にかかっていた音楽は「Daydream Believer」(The Monkees:1967年)、「帰って来たヨッパライ」(ザ・フォーク・クルセダーズ:1967年)、「恋する夏の日」(天地真理:1973年)、「恋のダイヤル6700」(フィンガー5:1973年)といった具合である。「この頃の曲はいい曲が多く、同世代にはたまりません。こういういい曲があることを若い人にも伝えたいから、そのこだわりです」。

心を通じ合わせることを意識した接客も健在だ!

復活店舗はフランチャイズ1号店、人づくりに合わせて店舗展開

今回の復活店舗は、フランチャイズ1号店である。『タイ屋台居酒屋ダオタイ』などを運営する株式会社DAO(本社:東京都杉並区、代表取締役:川井将太郎)がフランチャイジーとなって運営。店舗も同社が運営していた居酒屋を改装したものである。川原社長の話によると、『なんでんかんでん』に興味を持っていたDAOサイドから「フランチャイザーとして」という話でアプローチがあったが、まずは株式会社なんでんかんでんフーズがフランチャイザー、DAOがフランチャイジーとしての開店が決まった。

「(DAOサイドは)若い人たちなので、僕が看板みたいになってということです。僕が本部で、展開していく会社としてDAOさんがいてもいいかなと思います。展開と管理会社という感じで」と川原社長は今後の展望を話す。店舗展開については「多いに越したことはありませんが、まずは自分と同じような人を育てて、そういう人に合わせて店舗を広げていければと思います。『この人なら店舗の立ち上がりは大丈夫』みたいな人をつくることでしょうね」と、いたずらな拡大路線ではなく、地道に増やしていく考えである。

1980年代後半から1990年代にかけて大人気を誇った『なんでんかんでん』は、幹線道路沿いに店舗を構えたのに駐車場がなかったのが致命傷になった。路上駐車が社会問題になり、取締りの強化で売上が激減。最終的に店舗を閉める結果となった。今回はJR高円寺駅から徒歩1分の場所にあり、駐車場の心配はない。

店舗を閉めてから6年はタレント活動を中心に活動していた川原社長にとって、今回は再び訪れたチャンス。「今まで失敗したことが、今に生かされています。人は失敗しないといけません。失敗して初めて『あの時こうすれば』という考えが出てきます。失敗して成功して人は良くなっていくものです。だから失敗して良かったと思っています。そして人生には波があります。いい時もあれば、悪い時もあります。マネーの虎(日本テレビ系の深夜番組、川原ひろし社長も出演)の虎(出資者)たちも、一旦悪くなっても、またベンツに乗っている人もいます。僕もまだまだ若い人には負けませんよ」。

21世紀にも通用した『なんでんかんでん』ブランドは、タレント業の片手間に行う事業ではない。川原社長の本気度が伝わるブランドは、さらに成長が期待される。

「失敗したことが、今に生かされている」と語る川原社長。今後の展開も楽しみだ!

川原ひろし
福岡市博多区出身。幼少時から音楽に親しみ、音大の声楽家を目指し上京、22歳で作曲家としてデビューする。しかし「東京には本物の豚骨ラーメン店がない」ことに不満を感じ1986年に『なんでんかんでん』を東京都世田谷区の環状7号線沿いに開店させる。これが大ヒットして、わずか13坪、住宅地、深夜だけの営業で年商3億円と言われるほどに成長させ、店舗も増やし実業家として活躍する。その実績と、ユニークなキャラクターを買われテレビ出演は1500回以上。特に日本テレビ系のバラエティー番組「マネーの虎」の出演によりお茶の間の顔となる。今年3月にはテレビ朝日系「しくじり先生 俺みたいになるな!!」に出演し、当時の裏話を披露した。現在はタレント、歌手、俳優、接客繁盛術講師、プロ催眠術師、ありがとう大学理事長としても活躍している。

『なんでんかんでん高円寺店』
住所/東京都杉並区高円寺南4-25-9
電話番号/03-5913-9485
営業時間/11:00~15:00、17:30~翌1:00(スープがなくなり次第閉店)
定休日/不定休
http://nandenkanden.tokyo

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松田 隆

ライター: 松田 隆

青山学院大学大学院法務研究科卒業。ジャーナリスト。スポーツ新聞社に29年余在籍後にフリーランスに。「GPS捜査に関する最高裁大法廷判決の影響」、「台東区のハラール認証取得支援と政教分離問題」等(弁護士ドットコム)のほか、月刊『Voice』(PHP研究所)など雑誌媒体でも執筆。ニュース&オピニオンサイト「令和電子瓦版」を主宰:https://reiwa-kawaraban.com/