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『中目黒タップルーム』が外国人に愛される理由。繁盛ビアパブの「インバウンド対策」

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スペイン人のミケルさん。キッチン担当スタッフだ

文化的な違いにより発生する問題にはどう対応?

外国人は日本人とは異なる文化や思想を持っている。宗教的な食のタブーについて、どのように配慮しているのかも伺った。

「イスラム圏の方はあまり来店しないこともあり、ハラルメニューについては完全には対応できていないですが、ベジタリアンの方々は時々いらっしゃるので、サラダ系のメニューをおすすめしたり、ピザのチーズや肉を抜くなど、その都度対応していますね」

特別にメニューとして設定するわけではなく、個々の要望に合わせて対応しているようだ。そのほか、外国人客を受け入れる際に困ることなどはあるだろうか。

「当店は店の外でしかタバコが吸えないため、たまに喫煙のついでに外でも飲もうとグラスを持っていってしまう人がいることが困る点ですね。グラスを持って帰ってきてくれればいいのですが、以前、系列の店舗で誤って外でグラスを割った方がいて、そうなると通行人の方も危険ですし」

あまりにもうるさく注意してしまうと居心地の悪い店になってしまいかねないので配慮は必要だが、Dice Kさんは困ることに対してはやんわりと注意しているという。そうすると素直に従ってくれる人が多く、特に問題が起きることはないそうだ。

20種以上のクラフトビールが飲める

「気負わず」にインバウンド対策を始めるのが大切

では逆に、外国人客が増えて良かったことを聞くと、「ビアホールという店柄、海外から来た人達がいらっしゃると、まるで異国のビアパブにいるような雰囲気を演出できます」とDice Kさん。また、日本人の場合、店ではつい隅のカウンター席やテーブル席などに座ってしまうが、外国人客は違うのだという。

「彼らは結構立って飲むのが好きなので、立ち飲みしてくれます。大きめの台を置いておくと、そこで10人くらい集まって立ち飲みしたりしますね」

同じ店でも日本人と外国人が棲み分けて滞在してくれれば、デッドスペースもできず有効活用できそうだ。

インバウンド対策というと堅苦しく考えてしまい、導入にあたっては準備が大変そうな印象を持っている方も多いだろう。もちろん最低限の外国語化は必要だろうが、訪日外国人客も日本の食事や文化を楽しもうとして訪れているもの。『中目黒タップルーム』のように、彼らとコミュニケーションを図りつつ気負わずに対応していくのが成功の近道かもしれない。

黒板に書かれているのは季節限定ビールの新メニュー。もちろん英語も併記されている

『中目黒タップルーム』
住所/東京都目黒区上目黒2-1-3 中目黒GTプラザC棟2F
電話番号/03-5768-3025
営業時間/月〜金17:00〜24:00、土・日・祝12:00〜24:00
席数/60
https://bairdbeer.com/ja/taprooms/nakameguro/

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西尾悠希

ライター: 西尾悠希

これまでグルメ系情報誌やカフェのムック本、グルメ系サイトなど、飲食系メディアに数多く編集やライティングで携わる。料理が趣味で、フードアナリストやフードコーディネーターの資格も取得。お酒を飲むのも好きで、休日には三軒茶屋や学芸大学の飲食店をよく開拓している。