進化する飲食店のキャッシュレス決済。「事前注文」や「顧客分析」に活用する店舗も

画像素材:PIXTA
日本でも広がりつつあるキャッシュレス決済。コンビニなどでは、交通系ICカードやクレジットカードのほか、店頭端末にスマートフォンをかざして決済する「iD」「QUICPay」もすっかりおなじみとなった。さらに最近では「PayPay」「楽天ペイ」「LINE Pay」などのQRコード決済、一部の飲食店では、アメリカのファストフード店で広く普及しているモバイルオーダー&ペイシステムも見られるようになった。
完全キャッシュレス化の店舗も登場
キャッシュレス化は、飲食店でも広がりつつある。大きな話題となったのが、現金支払いを受けつけない「完全キャッシュレス」の店舗だ。2017年11月にはロイヤルホールディングスが運営する『GATHERING TABLE PANTRY 馬喰町店』、2018年10月にはグローバルダイニングが運営するタコス専門店『TACO FANATICO』が完全キャッシュレス店舗として開店。また、プロントコーポレーションは、2018年11月にカフェ&バー業態の『プロント』でキャッシュレス店舗を開店し、2020年までに30店の出店を目指している。
直近では、UCCグループで外食事業を担当するUCCフードサービスシステムズが今年2月1日、『上島珈琲店』の中でキャッシュレス決済の割合が高い『上島珈琲店 大手町フィナンシャルシティ店』を完全キャッシュレス化とする取り組みを開始した。
いずれの店も、クレジットカード、電子マネー、交通系電子マネー、QRコード決済に対応している。まだ店舗数は多くはないものの、完全キャッシュレス店舗の登場は続いており、今後も増えていくだろう。

画像素材:PIXTA
スマートフォンで事前オーダーと決済ができるモバイルオーダー&ペイ
国内での新たな電子決済としては、モバイルオーダー&ペイが挙げられる。アメリカのファストフード店などで広く普及しており、事前にスマートフォンで商品の注文から決済までを行うことができるシステムだ。
日本ではまだ馴染みがないが、マクドナルドが2018年夏に都内3店舗で試験導入を行なったのち、今年1月21日から公式アプリで事前オーダーと決済ができるサービスを開始した。現在は沖縄県内の店舗にてサービスの利用が可能。今後順次全国展開していく予定だ。
また、今年1月にオープンしたUCCフードシステムズが展開するカフェ『Largo Cafe & Bar Lounge presented by UCC』では、Showcase Gigが手がけるモバイルオーダー&ペイプラットフォーム「O:der(オーダー)」を導入。客はドリンクやフードをスマホから事前注文・決済ができる。
幸楽苑×楽天の新たな取り組みにも注目
ラーメン店などの外食チェーンを展開する幸楽苑ホールディングは、『幸楽苑』全517店舗にて「楽天ポイントカード」の提供を開始。楽天スーパーポイントを使った顧客データを分析することで、人気メニューの内訳を年齢や性別など細かいデータで判別できるようになるなどのメリットが得られるという。ポイントサービスの導入は楽天のみだが、今後、QRコードや電子マネーなどさまざまな決済手段の導入を検討しているとのこと。
また、『スターバックス』とLINEは2018年12月に業務提携を開始。詳細は2019年春に公式発表する予定とのことだが、決済方法として「LINE Pay」の導入を予定している。

画像素材:PIXTA
街単位でキャッシュレス化を推奨も
キャッシュレス化は、街単位での導入も進められている。湘南地域では、東京オリンピック・パラリンピックを控え、藤沢、鎌倉の商工会議所がカードや電子決済を推進。両商工会議所は、NTT東日本、インターネットサービスの「ネットスターズ」と協定を締結し、キャンペーン期間として4月末まで、クレジットカードや電子マネー、QRコードの決済に必要な専用端末や、決済手数料を低く抑えたプランをそれぞれの商工会議所会員に提供する。両市で計500店舗以上の導入を目指している。
ほかに、埼玉県は2月から、外国人観光客の多い秩父地域でキャッシュレス化を進めるための実証試験を実施。観光施設や商店など300カ所以上でQRコード決済ができるようにし、消費者の利便性向上を図る予定だ。
ちなみに、QRコード決済は初期費用が無料のサービスが多い。また「LINE Pay」「PayPay」では、最長3年間、決済手数料無料とするキャンペーンを実施中だ(2019年2月現在)。
訪日観光客の増加、導入のハードルが低いQRコード決済の台頭、また、人手不足という現状も後押しし、今後、飲食店でのキャッシュレス化はますます加速していきそうだ。
