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脱マッチョな飲食ビジネスとは? 「FOODIT TOKYO 2019」で未来の経営スタイルを提言

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モデレーターはカフェ・カンパニーの楠本修二郎氏が務めた。会場は立ち見が出るほどの盛況ぶり

9月25日、東京ミッドタウン・ホール(東京都港区六本木)で外食の未来を考えるカンファレンス「FOODIT TOKYO 2019」が開催。外食産業のリーダーたちによって、全部で15のセッションが行われた。

そのなかでも、カフェ・カンパニー株式会社 代表取締役社長の楠本修二郎氏による司会の「さらば『マッチョ』な経営スタイル」では、「脱マッチョ」とはどういうことか、これからの飲食店経営はどうしたらよいのかについて、実例とともに紹介。脱マッチョを実践している人たちは、どう考え、どう動いているのだろうか。

飲食店の「脱マッチョ」とはどういうことか?

まず冒頭では、楠本氏が「脱マッチョ」について提言。店舗や売上を増やすのは当然の活動だとしつつも、時代も変わってきているという。

「現在は“食と生きる”ということと事業が直接的にリンクする時代。多様な価値観を受け入れる時代でもあります。そのような背景があって、未来を考えたり、どんな貢献ができるかを姿勢で示したり、ということが大事になってくる」

その上で、楠本氏は「脱マッチョ」の定義を次の5つに落とし込んだ。

その1:売上を最終目標とせず、様々な課題に貢献するための企業活動であると自覚している。
その2:食をこれからの人類の暮らしにとっての最大課題ととらえ、持続可能な活動を実践している。
その3:人の心と体の健康に寄与する要素を取り入れている。
その4:地球環境に配慮した活動を、経営の中に取り入れている。
その5:社員や地域社会、その他多くのステークホルダーを巻き込みながら、様々な食の発見、食育活動に取り組んでいる。

社会や地域を変えていきたいという意識をもった事業が、SNSを通じて共感・価値につながっていく時代。そして、その事業パターンも様々で、今回の登壇者からもそれがよくわかる。以下4名の登壇者たちの活動についてレポートする。

左からPIZZA 4PS CORPORATION CEO 益子陽介氏、PIZZA 4PS CORPORATION COO 高杉早苗氏、美食倶楽部ネットワーク Founder/食べる通信リーグ理事 本間勇輝氏、かつお食堂 店主 永松真衣氏

ベトナムで食へのきっかけづくりをするPIZZA 4PS

PIZZA 4PS CORPORATIONの益子氏と高杉氏は夫婦で事業を立ち上げ、ベトナムでPIZZA 4PSを展開。2008年に立ち上げ、現在では18店舗を経営している。4PS(フォーピース)という名前に益子氏は「For Peace」という思いを込めているという。

「世界平和よりもインナーピース、心の問題を解決していきたい。そこが解決されれば世の中の問題が少しは解決されるんじゃないかと」

高杉氏は、ベトナム社会が成長段階にありマーケットとしてはマッチョだというが、そこで店舗を展開しつつ、様々な試みを展開。例えば、店舗でアクアポニックスも行っている。アクアポニックスとは、魚の糞を微生物が分解し、植物が栄養分として吸収。植物によって水槽の水が浄化されるという循環農業のこと。

「これが都市型農業の形のひとつ。食材がどういう循環になっているか、楽しいところから考えるきっかけにしたいと思ってはじめました」と高杉氏。こういった食の成り立ちを見える状況にして、食育活動ができる環境は多くない。これが信頼につながり、結果として事業がうまくいっているのでは、と楠本氏は分析する。

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富江弘幸

ライター: 富江弘幸

ビールライター、編集者。出版社などでライター・編集者として活動し、中国留学、英字新聞社勤務などを経てビールライターに。ビアジャーナリストアカデミー講師も務める。著書に『教養としてのビール』(SBクリエイティブ)。https://localandbeer.com