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食事をごちそうできる新アプリ「ごちめし」発表。被災地支援や子ども食堂にも

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「ごちめし」アプリの発案者である、Gigi株式会社代表取締役の今井了介さん

10月31日、六本木の「アークヒルズカフェ」にて、スマホアプリ「ごちめし」の正式ローンチ発表・体験会が開催された。スマホさえあれば、どんな遠方からでも誰かに食事をごちそうできるという「ごちめし」。コンセプトムービーの上映後、この新サービスを企画開発・運営するGigi株式会社の代表取締役・今井了介さんより、その詳しい事業内容や開発の経緯、今後の展望などが語られた。

距離や時間の壁を越えて“ごちそう”をプレゼントできる「ごちめし」

「ごちめし」は、スマホアプリを通じて人に食事をごちそうする(or してもらう)ことができる画期的なサービス。「ごちる=おすすめ店の食事を食べてもらう」という形で、感謝や応援などさまざまな思いを伝えるというものだ。

品を取り寄せて送るのではなく、おすすめの店に食べに行ってもらうという点がポイント

ごちめしの基本的な使い方

利用者は、ごちそうしたい人とされる人、そして飲食店の三者。まずはごちそうしたい人が「ごちめし」のアプリを通じ、好きな店のメニューなどを選んでメッセージを送信、精算(飲食代+10%のサービス料)までを済ませる。その後はごちそうされる権利を得た人が店へ赴き、店員にアプリのオーダー画面を提示して食事を楽しむ、というのが大まかな流れ。ノリとしては、「もうお会計済ませておいたから、気兼ねなく食べてきて!」といったところだろう。

ごちられる際の画面。店員に「オーダー確認ボタン」を押してもらえばOK

こうした手配がアプリ上でスマートにできるため、例えば遠く離れた家族や友人におすすめのひと皿を食べてもらう、仕事が立て込んで顔を出せない後輩の歓迎会などにワインを一本差し入れておく、といった粋でタイムリーな計らいが可能になるのだ。

■ごちる手順

「ごちめし」アプリのキャプチャ(ごちる手順)

1)トップ画面。下段のメニューバーから「ごちる」を選択
2)「ごちめし」に参画している店の一覧が表示される。ごちそうしたい店を選択
3)メニューを選択
4)個数やごちそうする相手、支払い方法などを入力して確認し、完了

■ごちられる手順(※オープンごちの場合)

「ごちめし」アプリのキャプチャ(ごちられる手順)

1)下段のメニューバーから「ごちられる」を選択
2)現時点で「ごち」の入っているお店の一覧が表示される。行きたい店を選択
3)食べてみたいメニューを選ぶ
4)「このメニューをごちられる」をタップして来店。専用QRコードを読み取り後、店員に「オーダー確認ボタン」を押してもらって完了

大切なあの人や、大好きなあの店を訪れる人々に

料理をごちそうする方法には二通りある。ひとつは家族や友人、同僚など、リアルなつながりのある人に食べてもらう「ご指名ごち」。誕生日や普段の感謝の気持ちを「あの人(たち)」に届けたいときに利用するパターンだ。もうひとつは、その店を訪れる人なら誰でも食事を楽しむことができる「オープンごち」。こちらは、お気に入りのあの店を応援したい、この一品をもっと広めたいという思いを叶えるもので、故郷の行きつけや被災地にある店などにエールを贈ることができる。こんな人にごちそうしたいという条件(シチュエーション)を指定すれば、母校の卒業生に卒業祝いという形で思いを届ける、地域の子どもたちの腹ごしらえをサポートするなんてことも。地域の活性化にもつながりそうだ。

「人に何かしてあげられることって、生きていくうえでとても大きな喜びになると思うんです」と今井さん

立ち上げの経緯

Gigi株式会社の代表取締役である今井了介さんには、実はもうひとつの顔がある。それは、これまでに数多くのヒットソングを手がけてきた音楽プロデューサーとしての顔。例えば安室奈美恵の『Hero』など、誰もが知る楽曲の作詞・作曲・プロデュースを行い、多くの人の心を「音楽」という形で照らし続けてきた。そんな音楽家である今井さんが、なぜ今回「ごちめし」を始めたのか。今井さんは自身の言葉で語ってくれた。

「きっかけは、3月11日の東日本大震災でした。甚大な被害の状況を知ってから、自分には何ができるのだろうという自問の日々が続いて。命を支えるライフラインが最も必要とされるとき『音楽って何て無力なんだろう』ということを痛感したんです。音楽は人の心に寄り添う素晴らしいものですが、衣食住のようなもっと生活に直接関わることにも貢献していかなければならないと思いました」

そんなとき、今井さんが知り得たのが、北海道帯広市にある『結 YUI』という定食屋の存在。ここでは「ごちめし」の仕組みの元となった、食を通じての温かいコミュニケーションが定着していた。

「400円のうどんを食べたお客さんが、『とても美味しかった。これを地元の子どもたちにもぜひ食べてほしいから、追加で400円置いていくね』と、うどん一杯を誰かにごちそうするんです。これは『結 YUI』の店主・本間辰郎さんが、イタリアのサスペンデッドコーヒーという古くからの文化をヒントに始めたものだったのですが、僕はこの仕組みにとても感銘を受けまして。自分にも何かできないかなと思ったんです」

今井さんは実際に『結 YUI』まで足を運び、本間さんに「この仕組みを元にしたアプリを作らせてほしい」と直談判。結果「この考え方を広めてくれるなら」と了承を得て、開発に至ったという。

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田中恵実子

ライター: 田中恵実子

編集プロダクション在籍時にグルメやライフスタイル、住まいなどをテーマとしたさまざまな雑誌・Webマガジンにて取材&執筆をおこなう。現在はフリーランスとして、女性向けショッピングサイトなどの編集執筆を担当。世代より少し上の歌謡曲やJ-POPを愛聴。