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2020年4月から飲食店で原則禁煙。店側の認知や対応はどのくらい進んでいるのか

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■分煙環境の整備には“高いハードル”。スペース・資金などが課題

分煙にはスペースの問題が大きく立ちはだかる

分煙環境を「検討した」ものの、「具体的な行動には至っていない」理由として最も多かったのは「スペースがない」ことで、全体の40%近く。「コストが掛かる」という声も21.1%ある。

また、全体の約3分の1となる「方針が決まっていない」という声からは、禁煙には踏み切れないが、喫煙専用室を設けるのか、加熱式タバコ専用室を設けるのかなど、細かい部分を決めきれないという事情が汲み取れる。

より具体的な声を聞いてみると、
・資金と時間がないため(埼玉県/和食)
・20年近く営業しているのに今さら言われても、喫煙ブース作るなんて、そんなスペース無い(東京都/中華)

など、困惑する声が多数。専用室を作れば喫煙可能だという“お触れ”があっても、これからお店をデザインする場合はともかく、既存の店舗に新しく“部屋”をつくるのは、無茶振りが過ぎるといったところだろう。

また、
・まだまだ法令の変更があるかもしれないから(東京都/居酒屋・ダイニングバー)
・国からの説明が乏しい(神奈川県/中華料理)

といった意見も。

規制と言ったところで、具体的にどのように取り締まるのかがはっきりせず、また東京都だけでなく、兵庫県、千葉市等で地方自治体独自の条例を設けるなど、喫煙規制が全国統一でないことからか、様子見をする声も見られる。

■分煙にしたい飲食店の4割以上が「屋外の喫煙所」を検討。テナントの店からは「共用部に喫煙所を」

圧倒的に多いのが、店内を禁煙にするかわりに「屋外に喫煙所を設ける」で43.4%

一方、「分煙環境を検討し、今後対応予定である」と回答した店に、どのような喫煙環境にするか聞いたところ、圧倒的に多かったのは、店内を禁煙にするかわりに「屋外に喫煙所を設ける」(43.4%)というもの。店内に喫煙専用室(飲食不可)を設ける店は26.4%だった。

実際に、分煙を検討している店にとって、“理想”の喫煙環境をたずねると、

・きちんとした分煙が出来るのであれば店内喫煙を可能にしたい(東京都/居酒屋・ダイニングバー)
・完全分煙。部屋で仕切りたい(神奈川県/和食)

と、屋内での分煙が良いという声が目立った。またテナントビルに入っている店からは、

・バルコニーなどで吸える、またはテナントビルの共用部で吸えるにしてほしい(東京都/居酒屋・ダイニングバー)
・可能であれば借りているビルの一部に喫煙所を設置して頂きたいです(東京都/バー)

など、共用部での喫煙所設置を望む意見が寄せられた。そのほか、

・喫煙 禁煙は各店で決めてしっかりと表示し、お客さんが入店するかを決められたら良いと思う(東京都/居酒屋・ダイニングバー)

と、あくまでも喫煙環境は店の自由にして、判断は利用者に委ねるべきという意見も根強いようだ。

■禁煙にする最大の理由は、やはり「スペース問題」

店内を禁煙化した最大の理由は「分煙環境を設けるスペースがないから」

「禁煙」を選択した店についてもその理由を聞いたところ、「分煙環境を設けるスペースがないから」が最大で、46.4%とほぼ半数。続いて多かった回答は「禁煙にした方が顧客のニーズに合うから」(34%)で、時代の流れを尊重する姿勢が垣間見える。

■店にとって、売上がプラスになる分煙とは?

分煙環境としては、「全席禁煙(屋外に喫煙所あり)」が最もプラスになると考えられている

大型の飲食チェーンなどが禁煙にすると、必ずといっていいほど、その何か月後かに売上の動向が話題になる。今回の調査で「売上にプラスになると思う分煙環境」についても聞いてみたところ、最も多かったのは「全席禁煙(屋外に喫煙所あり)」(32%)。「一部喫煙席あり」(23.3%)、「全席喫煙」(16.5%)が続き、喫煙の可能性は残したいという店が9割という結果だった。

■利用客のニーズとの間で、板挟みの苦悩が浮き彫りに

最後に、禁煙・分煙環境に関してフリーで意見を書いてもらった。すると、ほとんどの店舗が屋内禁煙の流れには理解を示しながらも、

・店内は禁煙でも何ら関係無い。しかし喫煙場所の確保は必要です(東京都/イタリア料理)
・飲食店禁煙は歓迎ですが、屋外に喫煙所を設けるなど吸えるスペースは設けるべきだと思います。路上喫煙も禁止・室内もとなると喫煙者がかわいそうかなと思います(東京都/イタリア料理)

など、なんらかの形で喫煙できるスペースの確保は必要だという声が多数あがっている。とりわけ東京は、路上喫煙禁止区域の場所もあることから、道路に直面しているような店だと屋外に喫煙所を設けることも難しいという実態があるようだ。

画像素材:PIXTA

また、さまざまなスタイルがある飲食店だからこそ、

・飲食店は、個々のお店のスタイルがあり、国、市町村が一律で決める必要は無いと思う。店側にあった喫煙、禁煙状況をお客様に提示して納得して来店してもらうことが大事だと思います(東京都/イタリア料理)
・喫煙をしながら飲食したい方はたくさんいらっしゃるので、その方々が窮屈になりすぎないよう対応していきたいです(東京都/イタリア料理)
・喫煙できる・できないはお店が決定すればよい。喫煙できるお店が嫌なのであれば、そのお店に行かなければよい(神奈川県/焼肉)

といった、そもそも客が自由に選べる飲食店に対し、“規制”として介入すべきではないといった意見のほか、

・当店でも、喫煙できない為入店いただけなかったお客様が一定数いらっしゃる。完全分煙等であれば良いかもしれないが、厳しすぎるような気もします。外食離れにならなければいいのですが…… (東京都/フランス料理)
・お酒を扱う店舗は売上に影響があると思う。分煙室を義務付けるなら、もっと政府が支援しないと廃業店舗が増えるのではないかと思う(東京都/テイクアウト)

など、外食産業全体への影響を懸念する声も散見された。

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『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

ライター: 『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

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