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ワタミはから揚げ店のFC展開をスタート。大手外食企業がチャレンジする新業態

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写真はイメージ。画像素材:PIXTA

外食企業が新業態の開発スピードを早めている。特に専門店の立ち上げが近年の潮流だ。ワタミは総合居酒屋『和民』『坐和民』を、2016年期末からの3年間で202店舗から35店舗まで縮小し、鶏料理に特化した居酒屋『ミライザカ』を39店舗から209店舗まで拡大した。ワタミに限らず、業態の専門店化は今後更なる加速が見込まれている。

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大手外食企業、注目の新業態は?

■ワタミの『から揚げの天才』
大手外食企業の中から、注目の新業態をピックアップしたい。最初に紹介したいのがワタミの『から揚げの天才』。実家が玉子焼き屋という人気TVプロデューサー・テリー伊藤氏を起用し、共同で開発したものだ。2018年11月に大田区梅屋敷に1号店、2019年7月に大田区多摩川に2号店、2019年10月に葛飾区亀有に3号店をオープンした。

大注目の理由は、創業以来直販店にこだわってきたワタミが、2020年からこの業態を軸にFC展開を計画していることだ。小規模な店舗設計で初期投資を抑え、オペレーションも簡略化した生産性重視の店づくりをしている。

写真はイメージ。画像素材:PIXTA

■エー・ピーカンパニーの『しゃぶしゃぶ つかだ』
『塚田農場』を運営するエー・ピーカンパニーは、高級一人しゃぶしゃぶ『しゃぶしゃぶ つかだ』を2019年11月、渋谷にオープンした。デザインはクリエイティブディレクターの佐藤可士和氏が監修。ステンレスと木が調和する店内は、高級感と親しみやすさが同居している。肉はA5・A4の黒毛和牛や神戸ビーフなど、厳選した国産肉を使用。A4黒毛和牛肩ロース+A5黒毛和牛ブリスケは4,400円と、やや高めの単価設定だ。

エー・ピーカンパニーは中価格帯業態と呼ぶ客単価4,500円~5,500円の業態開発に注力中。これまで属人的だった業態作りを、PDCAに落とし込む方法に変更した。「顧客の声を聞き」「仮説、検証プランニング」「戦略的にメニューを構築」「しっかり外へ伝える」というサイクルで進めるようになったという。

ひとりしゃぶしゃぶの分野では、すかいらーくグループのニラックスが2019年2月に『一人鍋しゃぶしゃぶ すうぷ』をオープンしているが、エー・ピーカンパニーは高級路線を打ち出して差別化を図った。

■しゃぶしゃぶ店を展開する木曽路の『酒場大穴』
しゃぶしゃぶ店を中心に展開する木曽路は、大衆居酒屋『酒場大穴(ダイアナ)』で居酒屋業界に参入した。寿司や穴子串、骨せんべいなど気軽に食べられるものがメニューの中心で、客単価は3,000円前後。年商は1億3200万円を見込んでいる。初参入の居酒屋業態で、難易度の高い大規模店を選んだ。開業後一年の結果に注目だ。また、木曽路はテンコーポレーションとFC契約を結んで『天丼てんや』をオープンするなど、業態の多角化を進めている。

写真はイメージ。画像素材:PIXTA

新業態を成功させるポイントとは

大企業の新業態開発は失敗するケースも少なくない。新業態成功のポイントは3つ。1つは企業戦略と合致していることだ。経営者や株主、全社員の理解がなければ、根づかせるのは難しい。2つ目は徹底したマーケティングだ。目まぐるしく変化する今の時代、目先の流行に流されて業態を開発しても乗り遅れるだけだ。市場調査とフレームワークの活用が、業態開発に必要となる。そして、3つ目は店舗運営のPDCAを高速で回すことだ。新店舗はオペレーションに振り回されて仮説検証がおろそかになりがち。仮説をもとに、時代に合わせた集客手法やメニュー開発をいち早く導入、検証するサイクルが重要になる。

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フジモトヨシミチ

ライター: フジモトヨシミチ

ビジネスのヒントになる情報を届けて、飲食業界の活性化を願うライター。業界紙の編集からITコンサルタントに転身。副業で執筆。得意分野は飲食店、ホテル、結婚式場の経営。