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オープン1年足らずで「ビブグルマン」選出。『銀座 八五』のラーメンの凄さに迫る

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スープの完成度を邪魔しない特製麺

麺はデュラムファリーナ粉使用の特製麺

スープと合わせて注目したいのが、麺とトッピング。まず麺は、『神田 勝本』の麺と同様に「浅草開化楼」の製麺師・不死鳥カラス氏に協力をお願いし、開発したという特製麺だ。

「スープを邪魔しないような麺作りを目指しました。パスタなどに使われるデュラムファリーナ粉を使い、“伸びない・膨らまない・溶け出さない”という3つのポイントを実現しています」

また、「味玉中華そば」のトッピングには、チャーシュー、味玉、メンマ、九条ネギがのせられており、その一つひとつにこだわりを感じることができる。まずチャーシューは、焼き色をつけた厳選の豚バラ肉をタレと一緒に真空パックに詰め、約3時間休ませて味をなじませる。さらにスチームコンベクションオーブンで約4時間ゆっくりと火を入れ、柔らかくジューシーな一品に仕上げている。

これだけでも酒がすすみそうな絶品チャーシュー

味玉には、黄身のきれいな津軽のたまご「じょっぱり」を使用。一般的に味玉は醤油で味付けするものが多いが、『八五』ではスープの味を損ねぬよう、昆布だしベースのタレに漬け込む。トロリととろける黄身は食欲をそそるが、繊細なスープが濁ってしまってはいけない。しっとりと程よい半熟具合にボイルされている理由は、そんな配慮にある。やや太めのメンマも、丁寧で上品な味付けだ。

そして究極の逸品を完成させるべく、最後に振りかけるのがペッパーキャビア。鴨のローストの仕上げなどに使われる香辛料だが、これぞフレンチの巨匠である松村氏ならではの発想だろう。

ペッパーキャビアはチャーシューの上に

「最初は、ペッパーキャビアのかかっていないところからスープを飲んでいただいて、あとは自由に召し上がっていただくのがおすすめです。ペッパーを混ぜるとまた美味しさが変わりますよ」と松村氏。主役となるスープと特製麺、一つの料理としても成り立つほどのトッピングが三位一体となり、ここに極上の一杯が完成する。

店で一番人気の「味玉中華そば」

世界に認められる、一期一会のラーメンを

最後に、松村氏が考えるラーメンの面白さ、大切にしていることを聞くとこんな答えが返ってきた。

「ラーメンは一期一会の料理だと思っています。毎日同じように作っても、季節の変化や使う肉の部位などによって微妙に味が変わるし、すべてがまったく同じ仕上がりにはならない。だからこそ、常に“最高の一杯”を提供しようという気持ちで厨房に立っています」

「死ぬまで厨房に立ち続けたい」と語る松村氏だが、ビブグルマンを獲得した今、どのような店を目指していくのか。

「私にとってラーメン作りは、やりたいことをやらせてもらえる人生最後の仕事だと思っています。世界有数の美食都市である東京で、もっと認められるラーメン屋になれるよう成長していきたいですね」

『銀座 八五』という店名は、店の敷地面積である8.5坪に由来しているが、ロゴは富士山を見立てたものだという。そこには「今いる場所は富士山の五合目。常に頂上を目指したい」という想いが込められているそう。今後の展開も楽しみだ。

平日はもちろん休日でも、長い行列が後を絶えない

銀座 八五
住所/東京都中央区銀座3-14-2 第一はなぶさビル1F
電話番号/03-6228-4141
営業時間/11:00~13:00頃、17:00~18:30頃 ※終了時間は目安。スープがなくなり次第、営業終了
定休日/水曜、第2第4木曜
席数/6

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河田早織

ライター: 河田早織

フリーライター・記者。人、物、コトと社会をつなぐ媒体として、インタビュー・取材レポート等の記事を執筆。主な執筆媒体は、日本の食、教育、医療、不動産など。